●2016年3月19日(土)●

3月19日(土) MASTURBATION ONEMAN
MASTURBATION
(Ba:タツシ / Vo&Gu:卑龍 / Dr:中村達也)
OPEN 19:00 / START 20:00
前売3000円 / 当日3500円 (別途ドリンク代 500円)

これは売り切れる!…と思って大阪旅行中にも関わらず、朝のファミマでチケット取りました。意外とあっさりと取れたので、そこまで急いで取る事なかったか…と思いましたが、そのあとに即完売。人気のほどが伺えます。

あのADKレーベルから音源をリリースしていたマスターベーションの再結成ライブです。勿論、バンド自体の復活にも燃えますし、アースダムのような小さな規模のライブハウスでex-BLANKY JET CITYの中村達也氏が観れるのも珍しい事なのではないでしょうか?

私自身はADKやスターリン系の日本語パンクにハマっていた時期がありまして、その一環でMASTURBATIONの音源を入手しました。正直なところ他の80’sの思い入れのあるバンドに比べれば、そんなに聴き込んでいないと思います。個人的に大好きなex-奇形児のタツシさんがいるバンドとしての認識が強く、そのバンド自体に強烈な思い入れがあるわけでもありません。

それでも「兵士トナッテ戦場へ向カエ!」なんかは耳にこびりつくようなキャッチーな曲で、しっかりと脳裏に刻まれていました。今回のライブ前に改めてDISCOGRAPHY CDやライブ音源を聴いたのですが、かなり独特な世界観のバンドだったと思い返しました。

【ライブ内容】

10分遅れぐらいでライブ開始。「遅いぞー!!!」「30年間待ってたぞー!!!」とヤジが入り乱れるライブ開始前だったが、常に会場は温かい雰囲気に包まれており、誰もがこれから始まるライブを楽しみにしている事が明らかだった。

ソールドアウト公演だけあって、会場は満員。人の頭でステージなんて見る事が出来ず、他人の騒ぎ声でステージに演者が出てきた事がわかるぐらいだった。

長いイントロを終えると1音目が出た。その存在自体は人の山で見えないのに、中村達也のドラムの音はすごい存在感だ。並大抵のドラマーが出せるような音ではない。1音1音の主張がすごい。そこに野太いベースが重なり、ギターが掻き鳴らされる。

リフ自体はとてつもなくシンプル。弾いている方が退屈してしまうのではないかと余計な心配をしてしまう程のものなのに、その鳴らされる音は強烈そのもの。まさに「バンド」という3文字を頭に思い描いてしまうような、三者一体となった凄まじい音の塊だった。

そして卑龍の声が聴こえた時に、後追いの私が言うのもおかしな話だが、80年代に存在したマスターべ-ションというバンド、そのものなのだと悟った。彼らは腰の抜けた同窓会を行う為の再結成ではない。今を生きるバンドの音を出していた。

拙いと言うか、なんとなく直接口に出すのは恥ずかしいと思えるような歌詞も、今となっては味となると言うか、これが日本語パンク、ADKレーベルというものだった気もする。夢のような時間。ライブが終わるまでが一瞬の事のように思えた。

そして1回引いた演者達もアンコールの声によって引き戻される。

最初はストゥージズのカバー。そして最後はもちろん「兵士トナッテ戦場ヘ向カエ!」。どうしてこんなにシンプルなリフの曲が、人を動かすのか。バンドとは技術だけではないと改めて思い知らされる。

正直、音源の何倍も良かったし、彼らのライブの良さはライブに行った者にしかわからない。そして現代では音源が軒並みレア、一部のマニアしか聞いていないと思っていたバンドに、未だに支持者がいて心からその音楽が求められていたという事実にも驚かされた。

久しぶりに熱気のある空間と一体になれた。短い時間だったけど、誰もがチケットの価格以上の価値を噛み締めて帰っていったと思う。