●2015年7月18日(土)●

Venom Inc. Japan Tour
Venom Inc.(fromイギリス)/ SIGH(東京)
Open 18:00|Start 19:00
[一般] Adv 7,000yen (D別)
[VIP] Adv 8,500yen (D別)
Piaにて発売中

確かにVENOMは好きだったけど、今思えばこの値段のチケットをよく自分が迷いなく購入したものだと思います。7000円もするチケットなんて久しぶりに買いましたよ。

このVenom Inc.というのは、VENOMの初代ギターのMantos、初代ドラムのAbaddon、更に中期VENOMに参加していたボーカル兼ベースのDEMOLITION MANの3人によって結成された、VENOMの初期の名曲ばかりを演奏するというコンセプトのバンドです。

事前インタビューではMANTASが初期の代表作を1st、2nd、「Primal Evil」の3枚として選んでおり、「Primal Evil」???とか思いながらインタビューを読んでました。まぁ、僕は3rdなんてどうでもいい派だったので、1stと2ndと、それらの曲がダレない程度に別のアルバムからやってくれる方が嬉しいんですけれどね。

1、SIGH
見るのは初めてですが、学生時代に聴いた「葬式劇場」には随分と衝撃を受けたもので、1度見てみたいバンドの1つでした。

いやぁ~、素晴らしかったです。国産ブラックメタルというと、とりあえず白塗りだけして、変に凶暴さをアピールしようとして滑稽になっていたり、黒魔術的な雰囲気を出そうとするもチープ過ぎて笑ってしまうようなパフォーマンスが多いのですが、SIGHのパフォーマンスは仰々しいながらもどこか緊張感がありました。また緊張感の中で川嶋未来氏の笑いのあるMCが良い感じに挟まれます。

割と最近のアルバムから演奏するのかと思っていたら、最初の3曲は1stの「SCORN DEFEAT」からの選曲。更に大好きな「葬式劇場」から「真言立川」を演奏してくれるという素晴らしい選曲で、SIGHだけでチケット代の元を取ったような気持ちになってしまいました。

それにしてもVENOMの「WELCOME TO HELL」の歌詞の中から「SCORN DEFEAT」という言葉を抜き出したと言っていた川嶋氏ですが、VENOMや80年代のヤケクソスラッシュメタルの何に影響を受けたら、こんな凄いメタルが出来るのか不思議でなりません。

SIGHの音楽はスラッシュメタルやブラックメタルの要素は含んでいますが、とても一言で語れるようなものではなくて、総合的な意味で「ヘヴィメタル」には分類できるものの、完全なる唯一無二の音楽だと思います。すごいバンドでした。

2、VENOM INC.
SIGHのおかげで割とどうでもよくなっていたのですが、やっぱりチューニングの音とか聴こえると燃え上がりますし、1曲目が何なのかなんてのが気になってきますね。

幕が開いて…出た!待望の1曲目は…まさかの日本ファンには全然浸透していないであろう「Primal Evil」!!!この期待の裏切りに嬉しくなります!そんな予定調和ではつまらないでしょう。ちなみに初めて聴いたのですが、良い曲でした。

そして、その後が、うおおおお!シングル曲の「Die Hard」!!!そして「Don’t Burn The Witch」と繋がり良い感じです。

その後は1stや2ndを中心とした名曲の数々が演奏されます。音源以上に重くヘヴィメタル感はあるのですが、どこかヤケクソなハードコア的勢いはやはりVENOMだけのものだと思います。あとVENOMの音源を来日前に聴き返し、実際に演奏を聴いて思ったのですが、オリジナルメンバーのCRONOS氏以上に、ドラムのABADDON氏の特異なリズムがVENOMをVENOMたらしめている気がしました。残念ながら今回はオリジナルメンバーが全員揃うとはなりませんでしたが、これでよかったような気がします。

しかしMANTAS、ABADDON、共に明るくて冗談ばっかり飛ばしたり、わけのわからない叫び声をあげたりして、なんだかバンドのイメージそのまんまの人たちでした。彼らは黒魔術の信仰者と言うよりも、街で一番強いチンピラって感じなんですが、下手に宗教的な人間以上に怖い感じがします。

それに老いてるって感じが全然しないんですよ。悪いおっさんって感じです。反面DEMOLITION MANはハゲの筋肉質というイカつい風貌ながら、おとなしくて真面目な男という印象を受けました。

そんなこんなで曲も進んでいきます。なんだかんだ今回演奏された中では本編最後の「Sons Of Satan」が一番燃えました。あとはアンコール後の「BLACK METAL」。NWOBHMの歴史において、こんなに暴力的なヘヴィメタルはなかったでしょう。まさに狂気の沙汰としか思えません。

しかしライブ以上に驚いたのがタバコ吸いながらモッシュしてた人がいた事(笑)。曲が良かったので私も意気揚々と暴れていたのですが、「隣のやつがタバコ持って暴れてるやんけぇ!」と思ってさすがに逃げました。他の人に思い切り怒られて止めてましたが、いやはや、怖いですよ。酒瓶持って暴れるのも止めて欲しいですが、タバコ吸って暴れるなんて、何かの間違いで腕に付着して根性焼きみたいになったらどうしてくれるんですか!

そんな事を思ってるうちにライブは終わってました。途中、機材トラブルでベースが鳴らなくなるも、物足りなさのない充実したライブでした。割と演奏時間長かったにも関わらず、もっと演奏して欲しかったですね。欲を言えば「teacher’s pet」はやってほしかった…。

【総評】

なんだかんだ、見て納得のライブでした。