●2015年7月3日(金)●

西荻窪KICK-ASS

* あの秀児 (Vo)
ex:cali≠gari

* HARN : 友森昭一(G/ex:AUTO-MOD、レベッカ)、半田和幸(B)、コウメイ(Vo,D)
¥1000+1d

数々のバンドに入っては失踪して脱退していく、カリガリの中期ボーカルの秀児さん。とっくに音楽業界からは引退されていると思っていたのですが、この度「あの秀児」名義で急に活動再開。音源を出しているわけでもないので、いかんせん内容もわからないなぁ~、と思っていたのですが、西荻窪のBarで1000円+1drinkならリーズナブルでいいかと思って行ってきました。

それにしてもこのBar、2周年という事ですが、中々濃いBar。店内はシャンデリアとかあって、場末のショーパブか純喫茶風。店のママも…そんな感じの方。入るなりポジティヴパンクが流れていて、スクリーンには映画が流れていて、いかにもな濃い感じ。

席数はテーブル席とカウンター合わせて20席あるかないかぐらいの小さなところ。いや、バーにしては広いんですけどね。店員のお姉ちゃんはTバックをローライズのパンツで見せるように履いていて、衣装だと思いながらも理解出来ない性器は下着の中でエスカルゴみたいにトグロを巻いていました。

スミノフ頼んだのですが、冷蔵庫に入っておらず氷水の中に浸けてあり、微妙なヌルさがなんとも言えませんでした…。

1、あの秀児
筋肉質でタトゥーだらけというルックスの割にはおどおどした感じで、ある意味イメージ通りと言うか、何というか。せめてアコギでも持つのかと思ったら、なんと自分で腕を指揮者みたいに振って曲のテンポを計りながらアカペラで歌を歌っていた。

「はにかみ屋の僕」や「歪んだ鏡」、「人間ポンプ」など、cali≠gari初期の曲をアカペラで披露。更にオリジナルのパンクナンバーを歌っていたのですが、「ダンダンダダン」と口で伴奏を口ずさむ飛び道具具合で凄まじかったです。

それにしても、恐らくはHARN目当ての客に「彼は心が強いなぁ」と言われ失笑されながらも、ゲップ等の低俗な行為で笑いを取る。それも観客が20人いるかいないかわからない場末のバーのようなところで。そんな彼の惨めさが、妙に今の彼に似合っていて、それに自分を重ねて鬱になるような、でも共感出来て嬉しいような複雑な気持ちになった。

彼はMCで「パンクが好きで、色々なパンクバンドに加入したけれど、パンクというジャンルに捉われるのが嫌で、メンバーと音楽性の事で喧嘩する度に脱退し、こうなって(1人になって)しまった」…というような事を言っていた。

そういう意味では「ヴィジュアル系」という枠に括られながらも、音楽的には何の枠にもとらわれていないcali≠gariというバンドは、秀児さんにとって最も収まりの良いところだったのかもしれない。それを抜けた彼を受け入れてくれるようなバンドは世間にはなかったし、彼自身にも1人で何かを表現しきるだけの才能はなかったのだと思った。

2、HARN
全然知らなくても、嫌でも興味を持ってしまう彼の経歴。友森昭一(G/ex:AUTO-MOD、レベッカ)なんて凄まじいです。そしてGと書かれているにも関わらず、彼は今回のライブでは南国の人たちが叩くような太鼓みたいなドラムスで参加しておりました。

まぁ~、MC含めてすごいテンポの良さ。途中で曲を間違えたりなんてのはご愛嬌。「場末」と思っていたバーが一気に「小粋」になってしまった。

しかし友森さんも女の歌ばっかり歌うし、見るからに遊び人って目つきしてるし、若い頃も今でもモテるんだろうね。そして良い生き方をしてきた人間の表情をしているし、ある意味、秀児さんとは対照的な存在なのかもと思った。

【総評】

ミーハーにも秀児さんと写真をとってもらっちゃいました。あまり行く機会のなさそうなハコ(?)だったのもあって面白かったです。