2015年5月31日(日)
いぬ屋敷 無頼の間
新宿URGA

Open 17:30 / Start 18:00
Ticket: adv.¥2000 / at door.¥2500 (+1drink)

■DEMANDA (from 奈良)
■THE NEUROSE (from 静岡)
■駅前旅館 (from 岡山)
■ILL BONE
■赤
■ビル

駅前旅館と赤を目当てに行ってきました。

ここ1年ぐらいで岡山の肉弾というパンクバンドに今更ハマってしまい、その流れで肉弾のボーカルが現在進行形でやっている駅前旅館というバンドも頻繁に聴くようになりました。しかし、この駅前旅館、CD音源を出したのは10年ぐらい前。岡山の事情なんて知りませんし、そもそも活動しているのかどうかすら怪しかったのですが、この度、いぬ屋敷にて来京が決まり、まだ活動している事を知ったのでした。

肉弾と言えば世間的には広島のハードコアパンクバンド、GASとSPLITを出した事で多少有名かもしれません。または1stシングルが遠藤ミチロウのプロデュースという事で聴いた方も多いと思います。

ただ、実際は未発表曲とかのが良かったりするし、一発でピンとくるようなバンドではないんだよなぁ…。いぬん堂から出てるDISCOGRAPHYアルバム「肉弾」が、1stシングルやSPLIT曲も含めて全て入っているので、お薦めです。

赤はSS RECONDINGSよりデジパックCDで、EP音源と未発表音源も再発されたドロドロパンクです。80年代のバンドだし、とっくに解散していると思ったら、たまにしかライブをやらないだけで一応現役(?)のバンドみたいです。

1、ビル
ビル見るのもかなり久しぶりなんじゃないかな。最後に見たのはもしかしたら殺害塩化ビニール vs いぬん堂とかだから、21歳ぐらいの時、本当に7年ぐらい前かもしれない。いや、その間に1回ぐらい見ているような気もする。それも定かではない…。

しかしボーカルのいぬん堂氏は本当にかっこいい。彼はザ・スターリンから影響を受けたような、ほぼコピーに近いようなバンドをやっているのに、かっこ悪くないのだ。ツボを押さえているし、奇怪な動きもサマになっている。このバンドだけの魅力がある。だからコケシドールもビルもずば抜けて素晴らしいバンドだった。

3曲目はなんと肉弾のカヴァーをやってくれた。最後の曲は大好きなCD-Rアルバムから「九つの瞳」をやってくれたし、最高。4曲だけじゃなくてもっと聴きたかった…。

2、DEMANDA
奈良のパンクバンド。SM衣装みたいなギターの姉ちゃんと、CEPHALIC CARNAGEのTシャツ着たベース、更にスキンヘッドのいかついボーカル。見た目だけだとDEATH SIDEみたいなジャパコアを今にも繰り出しそうだが、見事なまでのザ・スターリンフォロワー。それ「虫」と「FISH INN」の時期の中間みたいな音でミドルテンポの長尺ナンバーもこなす。

そこにロックンロール調のノリノリパンクロックも叩き込んだりしてくる。何にしても完全に80年代の空気感。ベースの音がぶりぶりで際立っていた。奈良からこういうバンドが出てきた事も異質に思える。

3、THE NEUROSE
1981年、静岡県で結成。2年ほど活動し、デモテープだけを残して解散。2010年にオリジナルメンバーと当時のお客さんで再結成を果たす(公式より)というバンド。いやいや、いくら80年代に詳しくてもデモテープ1本だけのバンドなんて知らないぞ!おっさんの学芸会みたいなノリの復活だろう…。

…と思っていたら、これがめちゃくちゃすごい。ザ・スターリンのハードコアな時期を更に2倍速にしたようなスピードチューンの嵐。最初はガラガラだった柵前に人が一気に集まってくる。最初の1曲だけで会場の興味を完全に引きつけてしまったのだ!

そう、この衝動、覚えているぞ。スターリンとGAUZEの融合、そう、チフスがこの2015年に蘇ったかのようなサウンドなのだ!そして80年代にデモテープを1本残しただけなのにどうしてこんなにレパートリーがあるのと言わんばかりにショートチューンを連発。フィンコアのような瞬発力もあって本当にたまらないサウンドになっている。

たまに遅い曲もやるのだが、それはそれでたまらない。ボーカルが地面に倒れて歌ったり、80年代を彷彿させる王道パフォーマンスが見れる。何よりボーカルが、歳は食っているのに若い!いや、矛盾した事を言っているんだけれど、非常にパンク然としているのだ。

このバンドがまた東京にくる時にはライブハウスに足を運ぶだろう…完全に対バンを食べちゃってたね。

4、赤
噂によると数年ぶりの演奏となる赤。彼らはザ・スターリンから影響を受けたような音。と思っていたが、本人たちがMCで言っていた尊敬するバンド「マスターベーション」。言われてみればまさにそんな音だった。

そして彼らの何よりの特徴はノイジーなギター!サイケかと思う程にノイジーなギターの中でミドルテンポのハードコアパンクを演奏するのだ。

EP化もされている曲はとにかく盛り上がりまくるわけだが、最後に演奏したマスターベーションのカバー「兵士トナッテ戦場ヘ向カエ!」が一番盛り上がっていた。演出やメンバーの派手派手しい外見も含めてかっこよかったね。特にボーカルの人は歳を感じさせない凄いイケメンだった…。

5、駅前旅館
お目当ての駅前旅館。生で、あの肉弾のボーカル文谷先生のキャップ姿が拝めて感動。

赤が割と派手なステージングだったのに対し、あまりにもストイックで見た目には正直寂しい上。更にとっつきづらい楽曲でノリづらい。ただ、そんな事、全く気にしないとでも言うかのようなポーカーフェイスな文谷先生は曲をどんどん連発。1stの曲は「小川で小便」だけだったけど、この曲はすごく聴きたかったので満足。

私が聴いた事ないであろう2ndやEPのものと思われる楽曲もめちゃくちゃかっこよかった。しかしこの気色悪さは他のバンドではとても出せない。そして、その気色悪さが癖になる。ポストパンクの世界にいけば少し売れるような気もするが、やっぱり売れない気もする。それでいいのだ。素晴らしい、独自の世界を築いたバンドだった。

6、ILL BONE
これも全然知らなかったんだけど、80年代にトランスレコード周辺で活動していたバンド。なんと私が所持している「NG」コンピレーションにも気づけば入っていた。

バンドと言ってもアコースティック寄りな作風で、トランスレコードらしい音というのが一番伝わりやすいかも。それまでのバンドと毛色は違ったけど、それはそれで楽しめました。急にディストーションになるギターが良いです。

それにしても物販で1982年のライブTAPEを売っていたのですが、TAPEで1700円はさすがに高いのでは…と思ってしまった。

【総評】

どのバンドもよかったけれど、THE NEUROSEと赤が圧倒的だったかな。でも目的の駅前旅館も楽しめました。完全に80年代の日本語パンクの世界観で最高。いぬん堂氏は本当に日本のパンクを愛する男なんだと思います。