●2013年11月3日(日)●

奇形児ワンマン・痺れ肉棒絶倫注射の夜vol.4

ACT
奇形児
特別ゲスト・大森靖子

OPEN
18:30

START
19:00

CHARGE
前売り2300円(D代別) 当日2800円(D代別) ★未成年者は特別価格前売りor当日券1000円(イープラスor店頭で前売り購入した場合、当日会場にて身分証提示で1300円のキャッシュバック方式

…という事で、奇形児のワンマンに行ってきました。大森靖子って私は全然知らなかったんですけど、調べてみたら割とサブカル丸出しなアコースティックシンガーでした。高円寺の無力無善寺で下積み(?)をしていた事からも、なんとなくキャラが伺えますね。見た目はモロに私の好みです。

四谷OUTBREAK!は初めて行ったのですが想像よりも狭いライブハウスで、EARTHDOMの半分ぐらいのキャパでしょうか?客はぎゅう詰めというわけではなく、むしろ多少のスカスカ感はありましたが、箱が狭い故に移動は少し面倒な感じでした。

未成年者は特別価格という事でしたが見事な程のご年配者ばかりで、私でも正直若い方に分類されたと思います。今まで行ったライブイベントの中で一番年齢層が高かったかもしれません。

1、大森靖子

アコースティックギターですが、かなり攻撃的。凄く激しい音じゃないのに衝動的になるのは、頭脳警察を聴いてる時の気持ちに似ています。一緒にしたら自称音楽通の人に怒られちゃいそうですけど。

歌詞はミドリとかの、今までのサブカル女性シンガーが謳ってきたようなエログロの世界。ビッチな生活とかがテーマで、こういう歌詞って駄目な人は駄目だし、理解出来ない世界なんだろうなぁ~と思いながら、新宿がどうのこうのって歌を歌ってくれれば私のような歌舞伎町生活を送ってきた人間はすぐにファンになってしまいますね。

それよりもアコギでの演奏中にベラベラと大声で喋る客はどうなのでしょうか?その出演者が好きか嫌いかは別として、最低限のマナーがあるでしょう?興味がないなら後ろの方で酒でも飲んでればいいんですから、アコギのライブで笑い声をあげて関係ない話をしているなんて信じられないですね。自分勝手がパンクとかではないのですから考えてもらいたいものです。

2、奇形児(1回目)
先ずはリズム隊が登場し、後からボーカルのYASUさんが登場。いやぁ~、豹柄のワイシャツをはだけて着て、そこからタトゥーと乳首が見えている。パンツは赤のストライプパンツ。最高ですね。私が目指すロックスター像、そのまんまです。更に今回は顔を白塗りにしてグラムロックをイメージしたのでしょうか?なんとなく吉井和也を思わせます。

Tokyo Rock'n Doll→Plastics Love→1983…と掴みはOK。この流れは最高ですね。ビートパンクです。ただ当たり前ですがキーボードが加入してからは、かなり曲のイメージが変わったように思います。昔のパンクな曲はニューウェーヴっぽさを増したように感じます。

その後は1stアルバム「頭を丸めて~」の曲を数曲。新しい音源を聴いて思ったんですけど、かなりハードロック色が増しているというか、まるで別バンドかのようですね。HIROSHIさんのギターソロもハードロック寄りに傾いている気がします。1stアルバムの曲はやっぱりCDよりもライブのが迫力があってかっこいいですね。1stアルバムは綺麗にまとまり過ぎているように感じます。

数曲演奏した後に7、8分の休憩が挟まれました。

3、大森靖子 & 奇形児 → 奇形児(2回目)
想定通りの双方のコラボ。原曲は知りませんが、最初に演奏した曲は大森靖子の「あたし天使の堪忍袋」という曲のようです。厳しい事を言うようですが、YASUさんと大森靖子の声は一緒には合わないかも…。YASUさんもキーが高い箇所を歌う時は声が出ていなかったですし、そもそも全然違うタイプのシンガーでしょうしね(笑)。

そして2曲目は1stアルバムのリード曲とも言える「殺せ!」。音源ですとキーボードが目立ち過ぎている感じがしますが、ライブですとラウドで良いです。曲の途中で大森靖子が客席にダイブしてきて「殺せ!」を連発。「ババァ死ね」と、先ほど大声で談笑してた客に向けても怒っていたそうです。そりゃそうだよなぁ…人の談笑であれほどイライラしたのも初めてでしたから。

その後、大森靖子は楽屋の方に引っ込んで通常の奇形児の演奏。後半はほとんど1stアルバムからの曲でした。ブルージーだったり、ファンクだったり、THE FOOLSや70年代のブリティッシュロックなんかを思い出しました。こうやって改めてライブを見ると、彼等は良くも悪くも音楽の方向性を変えてしまったのだと思います。

悪い曲ではないのですが、遅くて長い曲が続くと少しダレるなぁ…と思ったり。

そしてアンコールでは2曲演奏。1曲目は…何か忘れてしまいました。2曲目は奴隷志願。なんだかんだで燃えますね。私は同じCDを何回も聴くような事はしない、広く浅い音楽知識の者ですが、奇形児の歌詞はきちんと歌えます。それは学生時代に本当によく聴き込んだ音源という事もありますし、彼等の歌詞があまりにも衝撃的でストレートで耳に馴染みやすかったという事もあるのでしょう。

楽しかったのですけれど、少し消化不良を感じました。大森靖子とのコラボ演奏も想定の範囲内でしたし、彼等のキャリアや実力を考えたら、もっと特別なワンマンが出来るのではないか?…とも思ったわけです。こんなもんじゃないだろ!?…みたいな。まぁ、私は与えられた者を鑑賞するだけの客の立場なわけですが。

それでも奇形児は再結成したバンドの中で間違いなく「現役」だと言い切れるバンドだと思います。多くのパンクバンドが再結成して、昔の曲を演奏して、喜ばれて、ダラダラと進展のないライブをこなしていっているように見えます。でも数年前に演奏していた曲を繰り返し演奏しノスタルジーに浸る事が、かっこいい事なのでしょうか?

奇形児もきっと昔の曲だけを演奏していた方がファンは盛り上がると思います。新しい事にチャレンジして欲しくないという懐古主義なファンも多くいらっしゃると思います。私も正直、「チェルシーの日」で見た最初の再結成した時の奇形児。あの時がピークタイムだったと思っています。

でも彼等は新しい曲、新しい音楽性にチャレンジし、新しい音楽の可能性を考えて今回のコラボを行ったはずです。それが評価されるかどうかは別として、新しい事にチャレンジする事はかっこいい事だと思います。私の中では過去のヒーローだったバンドが、また「現役」で活動している事は、本当に幸せに思います。