・WRETCHED / Lotta Per Vivere
オフィシャルかブートか忘れましたが、伝説のイタリアン・ハードコアバンド、WRETCHED(レチェッド)のほぼDISCOGRAPHY盤です。とりあえず一家に1枚。ハードコアを聴いていく上で必聴になる1枚です。中に収録されている音源を1枚ずつ解説していきたいと思います。
・w / Indigesti (1982)
IndigestiとのSplit用に作られた音源で、オリジナルのEPは10万越えの激レアで有名です。スピード、やさぐれ感はこの音源が一番。後にLPで再収録される曲も、こちらのverでは2倍速ぐらいの早さで演奏されており、スピード狂にもお薦めです。
ちなみにこれだけ凄い音源作って、実際のSplitはWretchedのが圧勝だったのだろう…と思われる方もいると思いますが、これのIndigestiの側の音源も相当ヤバいです。それはIndigestiの方の編集盤CDで割と安易に聴けるので是非入手してみてください。
・Finira mai? (1984)
非常に完成度の高い音源なのですが、個人的には前述のSplitと「Libero Di Vivere, Libero Di Morire」に挟まれた音源という事で少し影の薄いイメージ…。ただし、名曲「Mai Arrendersi」は後のLP収録verよりもスピード感、粗暴感があって良い感じです。
・Libero Di Vivere, Libero Di Morire (1984)
唯一のLP音源。EP等の再収録曲も含みますがリテイク済です。スピードは若干抑えめにされており、ドタバタしていながらも、意図的なドタバタというか、あくまで計算の上にRAWなサウンドを作り上げられている感じがします。聴き易さ、完成度の面でも初期のWRETCHEDの1つの到達点であり、誰にでも薦められる内容となっています。
改めて聴くと独自性のあるリフは「DISCHARGE影響下」の一言では済ませられない完成度の高さがあり、曲に飽きがきません。
・La Tua Morte Non Aspetta" 12" (1986)
それで聴き込んでいくうちに最高!!…となるのが、この1986年の音源。初期に比べればスピードは相当抑えめ、曲は長め…とスピード狂を一度失望させるのですが、聴き込むうちにその完成度に気付くでしょう。ニューウェーブの影響も受けていそうなギターは個性の塊であり、ギターソロなんかは心を打つものがあります。
どうしてこんなリフ、ソロが思いつくのか、発想が凡百のハードコアとは違う気がしますね。あまりにも濃過ぎる6曲。
・In Controluce" 7" EP (1989)
バンドが解散に向かっていくのがなんとなく予期出来るような2曲入りEP。スピードが落とされているのは勿論の事、メロコアとまではいかなくても、彼等らしくないキャッチーさを持っており、メロディックハードコアと形容しても問題無さそうな1曲目です。
2曲目は長尺の曲で、途中、例のオリジナルティありまくりのギターソロが聴けて、やはりWRETCHED節だと安心するのです。
まるで戦いの後のような音源。スーパーマーケットで言うところの、閉店前の「ホタルの光」を思わせるような、そんな音源です。
・Live at Torviscosa 1982
初期のライブ音源。意外と音質も良く聴けたものです。それでも十分RAWな音質で、リフが聴き取れるか聴き取れないかの瀬戸際なのが、またRAW PUNK好きを刺激しちゃいますね。
ちなみにこのDISCOGRAPHY盤で聴けない音源は、「In Nome Dei Loro Potere Tutto E'stato Fatto…」という1983年のEPと、「Vivi Ogni Momento」という後期のEP(こちらのDISCOGRAPHYと同じ内容)とLAST LIVEの音を収録した編集盤のLIVEの音源のみ。
そのどちらも大した音源じゃなければ無視していただきたいのですが、「In Nome Dei Loro Potere Tutto E'stato Fatto…」はスピード感とノイズ満点の大名作EPです。そのEPなんですが「FURIOUS YEARS ITALIAN 80'S HARDCORE PUNK」というイタリアン激レアEPを収録しまくったブートコンピレーションCDで聴けます。このコンピ自体も現在はあまり見かけませんが2000円以下なら速攻買ってもらいたいですね。
LAST LIVEは後期EPのLIVE音源が聴ける超貴重な音源で、これも既に廃盤なので血眼になって探す価値があると思います。
何にしてもイタリアンハードコアを通る上で、80's ハードコアを通る上で、外せないバンド。それがこのWRETCHEDだと思います。