佐々木ゆずです!シェーンベルクコアツアー、シュタイリアルテ音楽祭本番編を2日分まとめてお送りします。



コンサートは

7/6(土) 18:00-、20:30-、

7/7(日) 18:00-、

全3回。オーストリアは陽が長いので(21時過ぎても明るい)、こんな遅い時間にコンサートをするのも納得です。



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佐々木はシェーンベルクコアと合流後、最初の2日間こそ頑張ってメンバーに話しかけていたものの、上手く話せない、上手く聞き取れない、の積み重ねでネガティブになってしまい、7/5,7/6の2日間でなかなか会話ができず、がっくりきていました。


そんな中迎えた7/7の朝ごはんでしたが、メンバーとテーブルを囲み、やっとたくさんおしゃべりすることができました。せっかくの交流の機会を逃したくない!と焦っていたので、心底ほっとしました。








カウンターテノールでスペイン出身、同い年のAlejandro。日本の漫画(NARUTOとか)をきっかけに日本語を学ぶ勉強家。何か話すたび「すごいね!」とニコニコ流暢に言ってくれる褒め上手なお兄さん。


同じ1stテノール、会計の仕事からシンガーに転向したCalon。ぼくの拙い英語に「会話できてるよ!良いね」と励ましてくれます。今度はぼくが日本に歌いに行くよ!と嬉しい一言。


山田くんの投稿にも登場、David。日本旅行の経験から、優しい眼差しで私たちの旅路を気遣ってくれます。




レストランのウェイターのJulian。細やかに様子を気にして下さるほか、「歌をやっているの?ぼくも良い声になりたいよ!」と十分良いテノールでたくさん話をしてくれました。



ビュッフェ形式なので、料理を取りながら他のメンバーと「Guten morgen!」「How are you?」と声をかけ合うあたたかい空間。テラス席の居心地も気持ち良く、2時間以上おしゃべりを楽しみました。

山田くんに拙い英語は補ってもらいました。(彼は本当にすごいです。話せる、聞き取れる、笑いを取れるの三拍子!)



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本番まではどう過ごすの?とメンバーに聞いてみると、ほとんどが「プールに行くよ!」とのこと。なんとプール付きのホテルなのです!一休みしてから向かってみると、もうメンバーが泳いでいます。


深さはヨーロッパサイズの1.45m!1.58mのぼくは半分沈みながら泳ぎました。メンバーと時々談笑しつつ、日光浴したり。天気も気持ち良い晴れ!のんびりバカンス気分を楽しみました。




ソリストMiliamさんもプールサイドで談笑中。聞くところによるとソプラノのEvaの娘さん(!)。赤ちゃんの時から練習に連れて行っては皆に愛されていたよう。「この子はシェーンベルクコアの子どもなのよ」と愛おしそうに話してました。

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教会への美しい(でも急勾配の)坂道を歩いて会場へ。ミハルさんの弾き振りによる、エッセンスのぎゅぎゅっと詰まった最後の練習を終え、いよいよ本番のステージへ。「毎回の演奏が初演であるようなフレッシュな気持ちで歌うんだ!」という激励の言葉をミハルさんから頂いて入場しました。コンサートは3回とも各300人ほどが詰めかけ、ぎっしり満席!


本番は(特にラストコンサートは!!)あまりにも、あまりにもスペシャルな体験でした。

曲はモーツァルトのC molミサ。前奏のバイオリンが神さまに話しかけ、この世界を神さまに向けて開き世界をつなぎます。テキストは有機的に弾み動く音楽の流れに乗って確固たる意味を持ち、美しいものが飾りなくただただ突き詰められたモーツァルトの素晴らしい旋律と和音と共に会場に染みていきます。客席はほとんど暗転しないので、お客さんが幸せそうに耳をそばだてて心を開いているのが見えます。イエスのステンドグラスがますます輝きを増し、私たち全員を微笑みながら見つめています。

ジョルディ・サバール氏の指揮は神さまの心臓のように音楽に血液を送り続け、楽器の音色は声のよう、声は楽器のようで境界なく渾然一体。美しい音と言葉の残響は教会全体に満ち満ち、光の柱となって天に届いているよう。一つ一つの装飾に命が宿って光輝いています。教会の湿っているけれど澄んだ空気の匂いを鼻からいっぱいに吸って味わいます。五感で得られるもの全てに音楽の神様が宿っているように感じ、身震いします。

ラストコンサートの最後のin excelsis!は時を惜しむようなmolto rit.で締めくくり。長く豊かな残響がゆっくりと消え、マエストロが静かにBraboと呟いて客席へ振り返ります。


一瞬の静寂の後、割れんばかりの拍手、そしてスタンディングオベーション!!


シェーンベルクコアのinstagramより。画面左寄り、ソプラノソリストの右側に山田くん、テノールソリストの左側に佐々木。素晴らしく特別な合唱団、マエストロ、ソリスト、オーケストラ、教会、そして作品。マエストロが一人一人を丁寧にカーテンコールで紹介します。最後に楽譜を掲げてモーツァルトを讃え、退場していきました。この場所でこの時間とこの音楽を共有させて頂いたことを、心から嬉しく、心から誇りに思います。


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連れ立って打ち上げへ。山田くんとぼくをいつと気にかけてくれたGuy(ギー)が、今回も会場までアテンドしてくれました。



再び登場、Zakalias。大好きなシューベルトの話から本番前の声の調整の仕方、禅や神道にまで詳しくてびっくり。彼のエネルギッシュで音楽的な歌い口と分け隔てない性格に、ぼくも山田くんも大ファンです。




Tanya(料理はしっかり分量を図る派)とOlivier(目分量派)のおしゃれさんコンビ。

ぼくはTanyaの後ろ、Olivierの隣で、2人の柔らかい美声を浴びながら歌えて幸せでした。




Silviaは今日が誕生日、みんなでお祝い!ドイツ語のおめでとうは“Alles Gute zum Geburtstag!”どちらが速く暗唱で伝えられるか山田くんと競争したら喜んでくれました。


他にも色々なメンバーとお話することができて、本当に楽しい一時でした。



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23時を周りそろそろお開きかなと思いきや、Maryが「Andreasがすごく面白いことを思いついたみたい!着いてきて!!」とのこと。

夜道をみんなでぞろぞろ進みます。あたりは真っ暗、見上げると一面の美しい星空。何が始まるんだ。



最後に急な石段を降りると…そこは川!!!

メンバーは手を繋ぎ合って気をつけながら、でも躊躇なく!じゃぶじゃぶと次々川の中へ。「あなたたちも団員よ!」との声、ぼくと山田くんも覚悟を決め、ズボンをまくって裸足になっていざ入水!


つめたーい!!でも気持ち良い!!


中には下着姿で全身入るメンバーもいました。すごすぎる!!寒さなんか気にならないみたい。


泥だらけの足と何だかほかほかな心でホテルに戻り、おやすみなさいを言い合って別れました。


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シェーンベルクコアのメンバーと話していると、オープンマインドとはこういうことか!と思います。ありのままの自分を隠さずに認め合っている、お互いに心を開き合っている、出自や言語やそれぞれ違うのは当然で、個性としてプラスにとらえ合っている…必要なのは自分を開いておくだけ。そんなことを考えさせられる、とても素敵な集団でした。出会うことができて幸せです。



2人ともお話しできて顔と名前が一致できたら、メンバーにマルを付けてチェックしていました。打ち上げ終了時点でほぼ!コンプリート。後は明日の朝食とバスで。結構オープンマインドできた、かも。


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明日はシェーンベルクコアとお別れし(別れがたい…)、旅も後半戦、クレムス合唱アカデミーへ向かいます!今度はどんな新しい体験ができるのかな。どきどきです。