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日々の出来事,思い出を綴る

 30年前,統合失調症と診断された。見通しは「重症」だった。

 今,私は大学教授である。

 過去数年間,私は,患者と会合をもってきた。この人々は,症状を活発化させないテクニックを開発していた。ある人は,幻覚と向き合って「それが現実だという証拠は何だ? それとも,単に知覚の問題にすぎないのか? と問いかけよ」と言う。「私を軽蔑するような声はたえず聞こえてきます。聞き流せばいいんです。」と言う。「本格的な症状を防ぐために」「トリガー(引き金)を見きわめることだ。」と言う。「混雑した街中で長い間人といると症状が出るなら,友人と旅行する時は独りになる時間を組み込むとよい。」と言う。生活空間をシンプルに保つ(壁には何も飾らず,テレビもなく,ただ静かな音楽をながすだけ)。「何も耳に入らないようにしたい時は,うるさい音楽を聞く。」と言う。運動,健康的な食生活,アルコールを避ける,十分な睡眠をとる。神への祈りが重要な役割を果たしていた人もいる。

 テクニックのうち最も頻繁に言及する一つは仕事だった。「組織にとって有用な人間になり,尊敬されていると感じる時,所属することにはある種の価値が生まれるものです。」

 仕事に没頭することで,あの狂おしい部分が脇に追いやられることもある。

 仕事をしていれば精神が集中するし,悪魔どももおとなしくしてくれる。

 私の精神は,最悪の敵であると同時に,最良の友でもある,と言えるようになった。

 従来の精神科医のアプローチが,特徴的な一群の症状を見ることで終わっている―人間を見ない―ことが,残念ながらあまりに多すぎる。個人の力や能力は考慮に入らないし,患者が世界で何を達成したいと望んでいるかを,過小評価することになる。創造的思考の種子が精神疾患に見出されることもあるだろうし,人間の脳が適応したり,創造する力を人々は過小評価している。

 「病気の中にある健全さ」を見つけることが治療のゴールとなるべきだ。

 「すべての人間は,世界にもたらすユニークな才能やユニークな自己をもっている」。

 誰もが望むこととは,フロイトの言う「仕事をすることと愛すること」なのである。

 

エリン・サックス(南カリフォルニア大学クールド・ロースクール主任教授)