東日本大震災:福島第1原発事故 原発近くの夫妻、釧路の住宅に入居 /北海道 | くしろぐ

東日本大震災:福島第1原発事故 原発近くの夫妻、釧路の住宅に入居 /北海道

福島第1原発から約8キロの距離に住んでいた福島県浪江町の横山茂夫さん(63)、孝子さん(62)夫妻が20日、釧路市の民間借り上げ住宅に入居した。自宅が津波で流されたうえ、原発事故の収束までは長い時間がかかると見込まれ、いつ故郷に帰れるかまったく分からない。不安を抱えながらも「ありがたい。お世話になります」と周囲への感謝を口にした。

横山さん夫妻にあるのは、避難に使った車だけ。自宅のあった場所には、避難指示で戻ることすらできない。避難所や親類宅を転々としたが「仮設住宅の入居手続きをしても、夫婦2人だけだから条件が悪い」と考え、釧路在住の孝子さんの妹の元へ。釧路に着いて、無料で被災者用の住宅に入れることを知った。家具や家電も、市や業者有志から中古品がもらえる予定だ。

東京電力が17日に示した原発事故収束までの期間は最短6~9カ月。茂夫さんは「福島に帰れるまで、たぶん1年はかかるだろう」と厳しい口調で語る。だが釧路では、車のナンバープレートにある「いわき」の文字を見た人から何度も親切にされたといい、孝子さんも「受けた被害の大きさには泣けなくても、かけてもらう温かい言葉に泣けてしまう」。避難生活も「せっかくだから、観光地でもある釧路近郊を見て回ろうか」と前向きに受け止める。

市は被災者向けに、民間の共同住宅や市営住宅など計274戸を期限付きで無償提供している。問い合わせは総務課行政担当(0154・23・5184)。【山田泰雄】

毎日新聞
http://mainichi.jp/hokkaido/shakai/news/20110421ddlk01040274000c.html