民主への失望映した地方選 | くしろぐ

民主への失望映した地方選

10日に投開票された統一地方選の前半戦では、民主党の不振が目立った。国会対策など政権運営全般に影響が及ぶのは避けられず、党勢回復の道筋も全く見えない。菅直人首相(民主党代表)は、この選挙結果を厳しく受け止める必要がある。

12都道県知事選のうち、民主党は自民党と実質的に対決した東京、北海道、三重の3知事選ですべて敗れた。新人同士の争いとなった三重は岡田克也幹事長の地元だが、自民党などの推薦候補に競り負けた。

41道府県議選でも民主党の獲得議席は346にとどまり、改選前より69議席下回った。自民党も改選前を100議席以上下回ったが、1119議席を獲得し、40の道府県議選で第1党の座を守った。

議員選挙では地域政党が存在感を示した。橋下徹大阪府知事が率いる「大阪維新の会」は、大阪府議選で単独過半数を獲得し、愛知でも大村秀章愛知県知事の「日本一愛知の会」と河村たかし名古屋市長の「減税日本」連合が自民、民主両党に続く第3勢力となった。既成政党への不満の受け皿になったといえる。

政権与党として初めての統一地方選に臨んだ民主党にとって、今回の結果は極めて深刻である。

鳩山、菅両政権の相次ぐ失政で、2009年の政権交代時の熱気は消えうせ、有権者の期待は失望に変わった。苦戦が予想されたため、民主党からの出馬を取りやめたり、公認を返上したりする動きが止まらず、道府県議選では目標の半数以下の候補しか擁立できなかった。

3月11日の東日本大震災以降、各種世論調査で菅内閣の支持率はやや持ち直した。しかし今回の結果を見る限り、民主党への支持には結びついていない。むしろ後手に回り続けた福島第1原子力発電所の事故処理や、首相の指導力不足などへの批判が、「民主党離れ」を加速したと見るべきだろう。

民主党内で首相や、選挙対策の責任者である岡田氏ら執行部への批判が強まるのは必至だ。党内で「菅降ろし」の動きが再燃したり、自民党などの野党が対決姿勢を強めたりすれば、大震災からの復旧・復興に向けた今後の作業にも悪影響が出ることが懸念される。

日本経済新聞
http://www.nikkei.com/news/editorial/article/g=96958A96889DE0E4E7E5EBEBE7E2E3E0E2E6E0E2E3E38297EAE2E2E2;n=96948D819A938D96E38D8D8D8D8D