東日本大震災:避難者の実態把握に遅れ 登録制度も浸透不十分 /北海道 | くしろぐ

東日本大震災:避難者の実態把握に遅れ 登録制度も浸透不十分 /北海道

◇道の公表は公営住宅のみ

北海道内に避難してきた東日本大震災の被災者について、道の実態把握が遅れている。道が公表している7日現在の避難者数は662人だが、これは公営住宅に入居した数。知人・親類宅や民間施設に住む被災者はカウントされておらず、名簿作成などの対応は市町村間でばらつきがある。先月末から始めた登録制度も十分に浸透していない状況で、被災者に必要な情報が届かなくなる懸念もある。

毎日新聞が各都道府県に確認した避難者数(8日午前1時現在)は▽新潟5531人▽埼玉3528人▽群馬2900人--などで、北海道は関東や甲信越地方の各県よりも少ない。しかし道内の人口10万人以上の9市に問い合わせたところ、公営住宅とは別に知人・親類宅に身を寄せている人が少なくとも小樽、旭川、帯広、北見、釧路の5市で計115人いた。

5市は電話や市役所の窓口で子供の学校の転入の相談などに来た被災者の名簿を作っていたが、この情報は道に報告されていない。道の緊急支援対策本部は「周りの目を気にして、避難してきたことを知られたくない被災者もいる。知り合いもおらず、情報が届きにくい公営住宅の入居者を、まず優先して把握したい」と話す。

一方、秋田県では、全市町村が避難先の区別なく、窓口に来た人の名前や住所、連絡先などを県に報告している。公営住宅に住んでいるのは7日現在で29世帯だが、ほかに民家や民間施設などに1000人以上いることが確認できているという。

統計上の避難者数と実数との隔たりを埋めるため、道は3月31日から避難者登録制度「ふるさとネット」を始めた。被災者が名前や住所などを登録すれば生活支援情報などを届け、避難前にいた県にも連絡をする仕組みだ。だが、7日現在の登録は155人にとどまる。

同様の登録制度を取り入れている神戸市は、6日現在で市営住宅入居者をほぼカバーする148戸463人が登録を済ませている。同市の場合は毎日午後9時まで電話登録を受け付けているが、道は原則的にファクスか郵送。申請の煩雑さが、登録の伸び悩みにつながっている面もありそうだ。

避難者がどこにいるのか把握できていないと、義援金などの配分や仮設住宅の募集情報などが遅れる可能性もある。阪神大震災を体験したNPO法人「コミュニティ・サポートセンター神戸」スタッフの飛田敦子さんは「親類・知人などを頼って来ている人も支援の網から漏れないよう、行政は把握を急ぐ必要がある」と話している。【片平知宏】



「ふるさとネット」に登録したい人は、各市町村、道の総合振興局・振興局などにある申込書に必要事項を記入し、道外被災県緊急支援対策本部に郵便(〒060-8588 札幌市中央区北3西6 道庁本庁舎5階)かファクス(011・232・1140)で送る。道のホームページでも申込書が入手できる。問い合わせは同対策本部(0120・113・926)。

◇各市町村の避難者数

市町村   避難者数

札幌市   328人

函館市    69人

恵庭市    27人

小樽市    25人

江別市    24人

留萌市    22人

北見市    15人

千歳市    15人

旭川市    14人

日高町    12人

美瑛町    11人

岩見沢市   10人

登別市     8人

北広島市    8人

石狩市     8人

赤平市     7人

滝上町     7人

苫小牧市    6人

美幌町     6人

上川町     6人

帯広市     5人

新ひだか町   4人

伊達市     4人

北斗市     3人

釧路市     3人

蘭越町     3人

八雲町     3人

白老町     2人

当麻町     2人

新冠町     2人

岩内町     1人

江差町     1人

深川市     1人

 計    662人

北海道新聞
http://mainichi.jp/hokkaido/shakai/news/20110409ddlk01040297000c.html