合板、水道管、紙、水産加工品… 道内工場フル稼働 東北・関東被災で代替 | くしろぐ

合板、水道管、紙、水産加工品… 道内工場フル稼働 東北・関東被災で代替

東日本大震災で損壊した東北や関東の工場が稼働できなくなっていることから、不足分を補う注文が舞い込んだ道内の建設資材や一部食品メーカーが代替生産に追われている。各メーカーは「被災地のことを思うと手放しでは喜べない」と複雑な心境だ。

合板製造の丸玉産業(オホーツク管内津別町)は、3月下旬から通常休みの土曜も操業し、生産能力を1~2割引き上げた。業界では大手のセイホク(東京)の宮城県石巻工場などが被災し、全体の生産能力が従来より2割減っているという。丸玉産業は「震災直後には1日50件ほどの問い合わせがあった。震災前の受注分も残っており、5月の大型連休も操業する予定だ」と話す。

被災地の仮設住宅建設に使う資材の需要も生まれている。積水化学北海道(岩見沢)は、仮設住宅の水道管として使う塩化ビニール製の水道管をほぼフル稼働で生産。計画停電で思うように操業できない東京などの工場分も補っている。

このほか、日本製紙グループは、石巻などの3工場が操業停止し、旭川や釧路など道内の4工場が代わりにフル稼働。新日本製鉄は岩手県の釜石製鉄所が生産休止し、室蘭製鉄所などが代替生産に当たっている。

食品も、本州大手の東北、関東の工場が被災や計画停電で生産が落ち込んでいるため、道内メーカーが首都圏のスーパーから不足分の注文を受けている。

納豆製造の羊蹄食品(胆振管内洞爺湖町)は、生産量を通常の1・5~2倍に。北海道納豆工業組合の理事長でもある同社の中居敏社長は「道内の納豆メーカーはほとんどが同じような状況だ。東北で知り合いのメーカーが被災して複雑な気持ちだが、道産大豆の納豆のおいしさを知ってもらうチャンスかもしれない」と話す。

水産加工の兼由(根室)は、サケフレークやレトルトのサンマ煮などを増産。東北地方沿岸部の工場被災に加え、関東の工場で働いていた中国人研修生が福島第1原発の事故の影響を恐れて帰国し、人手不足に陥っているためだ。

同社は「残業して生産しているが、新たな取引先には対応できない状況」。函館の水産加工会社にも、日持ちするイカめしやイカ塩辛に、通常の2~3倍の注文が入っているという。

ホクレンは、本州に出荷する生乳の量を前年同期比3割増にまで増やした。

福島県などの生乳が原発の事故の影響で出荷停止となり、乳製品メーカーの原料が足りなくなっているためという。

北海道新聞
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/donai/283147.html