道内サンマ船大打撃 大型22隻中14隻被災 気仙沼など 水揚げ激減必至 | くしろぐ

道内サンマ船大打撃 大型22隻中14隻被災 気仙沼など 水揚げ激減必至

全国屈指の漁港、宮城県気仙沼市の気仙沼港は東日本大震災で壊滅的な被害を受け、港内に係留されていた道内の100トン以上の大型サンマ漁船8隻が、全焼したり津波で陸に打ち上げられたりする被害に遭った。同港では国内の大型サンマ漁船の3割に当たる17隻が被災。修復のめどがたたない船が大半で、今夏以降のサンマ漁へ大打撃となりそうだ。(報道本部 堀井友二、徳永仁)

黒焦げになった大型漁船が気仙沼港内で座礁し、無残な姿をさらしていた。港内で打ち上げられた泥をさらっていた漁業者の男性は「あれは第63幸漁丸。(日高管内)様似の船だ。あっちにも、別の北海道の船が座礁しているぞ」と語った。

同港では震災当時、港口にある漁船用燃料タンクが津波に倒され引火。燃え移った漁船や漂流物が、押し寄せる波で陸に上がり、市街地が一時、火の海になった。幸漁丸も火災に巻き込まれ、船体が真っ黒になるまで燃え続けた。

気仙沼漁協によると、同港で震災被害に遭った100トン以上のサンマ漁船17隻のうち、道内の船は幸漁丸のほか、第18栄保丸(釧路管内厚岸町)、第35進洋丸(根室市)、第38盛勝丸(同)、第5朝洋丸(稚内市)など8隻。火災に遭ったほか、陸に乗り上げ、道路をふさいでいる船もあった。

いずれの船もサンマ漁の時期は道東や三陸の港に水揚げするが、周辺に船の整備施設などが整う気仙沼港を基地にしており、震災当時はオフシーズンで港内に係留されていた。北海道さんま漁業協会(札幌)によると、道内の100トン以上の大型サンマ漁船は計22隻で、このうち気仙沼港を含む東北地方で被災したのは14隻。同協会は「影響は計り知れない」と話す。

幸漁丸を所有する様似町の八木田水産は「船の被害状況の把握もできず、修復できるのかどうかさえ分からない。不安だ」と心配する。栄保丸を所有する厚岸町の保田水産は「船は岩礁に乗り上げて30度傾いていると聞いた。直して使うのは無理だ。気仙沼の造船所も津波でやられ、新造するめども立たない」と嘆く。

被害の全容はまだ判明しないが、同協会によると同港を中心に国内の大型サンマ漁船の7割程度が被災。多くのサンマ漁船の造船や修理を担う気仙沼港近くの造船所も被害に遭い、今年の国内サンマ漁の水揚げ量激減は避けられそうもない。

気仙沼漁協魚市場部の熊谷浩幸部長(48)は「いまだに人的被害も判明せず、港や荷さばき施設などの復旧にも手をつけられない状態」としながらも、「全国の応援を受け、今夏のサンマの漁期までには漁を再開できるように頑張っていきたい」と自らを奮い立たせるように語った。

北海道新聞
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/agriculture/281593.html