元炭鉱マンの証言一冊に 釧路 | くしろぐ

元炭鉱マンの証言一冊に 釧路

【釧路】釧路市立博物館は、太平洋炭礦と雄別炭礦の元炭鉱マンらから聞き取った採掘技術の変遷や石炭産業の盛衰、労使関係などを1冊にまとめた記録集「ヤマの話を聞く会」を26日に刊行する。証言からは進取の気質も読み取れ、博物館は「太平洋炭礦が釧路コールマインに引き継がれる形でなぜ存続できたのか、考える素材にしてほしい」としている。(小坂洋右)

元炭鉱マンを講師に昨年、同博物館で3回行われた市民向け連続講座とFMくしろの放送「ヤマに生きて」8回分を元に、炭鉱史を研究する石川孝織学芸員(36)が中心となってまとめた。

登場するのは、太平洋炭礦の元釧路鉱業所次長高崎守さんや労働組合の元執行委員長小西新蔵さんら7人。同炭礦は1967年に従来の5倍の能力を発揮するSD採炭という新方式を開発したが、成功の裏に幾多の試行錯誤があったことについて、高崎さんは「成功までの間に(失敗でも)必ずいいところがある。ゼロからではなく、30%残ったところから出発した」との言葉を使って表現している。

同炭礦の組合活動については、小西さんが「いろいろ評価はあるが、(昭和40年代に)対決から対話路線に変えるための協議に入った」と証言。雄別炭礦の発破係員の話も収録した。

石川学芸員は「釧路炭田の歴史的転換期に立ち会った人の証言を集めようと始めた事業。経営側の証言はいくつか残されているが、現場の話はこれまでまとまった形で出されてこなかった」と意義を話す。A4判104ページで、千部印刷。市内の小中高校・大学、図書館や全国の炭鉱関係の資料館などに送付。同博物館の窓口や郵送で一般に配布する。

問い合わせは同博物館(電)0154・41・5809へ。

北海道新聞
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/chiiki3/281311.html