被災死亡者 警鐘鳴らし弔い(釧路新聞 読者の広場から転載) | くしろぐ

被災死亡者 警鐘鳴らし弔い(釧路新聞 読者の広場から転載)

 油断していた。まさに晴天のへきれきだった。海に従事している我々は津波の怖さを海技士の卵たる学生時代から多くの事例と共に学んでいたはずなのに、我々は常日頃から周囲へ警鐘を鳴らさなかった。
 当時、あの大津波の映像を見た瞬間に私はインターネットを駆使してブログや電子掲示板、Eメールなどで警鐘を後から鳴らした。
 見た後に警鐘を鳴らすなんて私は愚かである。我々は津波の破壊力を知っていたのだ。被災死亡者の方々へ我々は海のプロなどとは胸を張り決して言えない。
 行政が、学者が、我々が常日頃から警鐘を鳴らしていれば避難率6%なんて数字では無かったはずだ。10%や20%は軽く超える数字であったはずだ。申し訳ない、何度も申し訳ないと言おうが足りない。読者の広場へ投稿しようと思い立った当初は良い格好をして警鐘を鳴らそうとも考えたが、論理的に考えれば警鐘を鳴らさなかった我々へ責任があるのだと気付いた。
 行政よ、学者よ、同業の海技士よ、謝罪しようではないか。そして新たに学んだこの事例を忘れず今後は警鐘を鳴らそうではないか。それこそ我々がしなければならない弔いなのだから。

 海技士 寝虎 24歳(釧路市)


※当エントリーは釧路新聞本紙「読者の広場」から書き起こし転載をしました。
筆者は当ブログ「くしろぐ」管理人の寝虎です。