日本海航路に物流集中苫小牧東港続く満車目的地遠く
【厚真】東日本大震災の発生以降、北海道と本州太平洋側を結ぶフェリー航路が復旧していないことで、人や物の往来が滞っている。18日、輸送が集中している日本海航路フェリーが発着する胆振管内厚真町の苫小牧東港を訪れ、復興の仕事が待ち受ける東北へ戻る会社員、トラック運転手らの声を聞いた。(経済部幸坂浩)
夕暮れ時、港に面した同港駐車場には午後7時30分発の秋田・新潟行きを待つ約300台のトラック、シャシー、作業用車両などがずらりと並んでいた。
ガス管工事の機材などを積んだワゴン車の運転席に、作業衣を着たJFEエンジニアリング東北支店勤務、成田孝則さん(56)=宮城県多賀城市=の姿があった。「14日に支店と電話が通じ、とにかく帰ってこいと指示が出た。まだ、これからの仕事は分かりませんが…」。ガスや水道などが止まった地元では、復旧に向け技術者が多く必要になる。
成田さんが同僚3人と仙台発苫小牧行きフェリーで北海道入りしたのは2月中旬。札幌で請け負ったガス管工事を続けてきたが、帰還指示を受け、札幌の工事は18日午前までとし、あとは協力会社に任せることになった。震災で太平洋航路は既に運休。混雑する日本海航路の予約をとれたのが18日の便だった。
4人はワゴン車とトラックに分乗し、車には救援物資も積んである。地元に持ち帰るため札幌で箱単位で買ったカップラーメンや、道内の協力企業からの差し入れのミネラルウオーターのペットボトルなどだ。幸い、成田さんの家族は無事だが、自宅は浸水し妻の知人宅に移った。「被害の様子を自分の目で確かめたい。きっと想像以上にひどいだろう」と静かに話した。
秋田・新潟行きを運航する新日本海フェリーなどによると、太平洋航路の欠航に加え、JR貨物の盛岡以南が復旧していないこと、被災地支援に向かう自衛隊車両などを優先する事情も重なり、日本海航路は混雑で満車、キャンセル待ちが続いている。
18日の便もシャシーを含めトラック170台、作業用車両や乗用車120台で満車に。積み込みに時間がかかり、出港は50分遅れた。キャンセル待ちはトラックと乗用車合わせて約70台を数えた。
茨城県から来た運転手木村泰裕さん(27)は、道内への輸送は今回が初めて。震災後、新潟-小樽便で牛乳やジュースを入れる紙パックを運び込み、空荷で本州へ戻る。「紙の輸送に普段は貨物列車を使う。運休中だったのでトラックで運ぶことになった」と話す。
仲間の30台と一緒に関東から札幌で開かれるコンサート用機材を運んできたトラック運転手(48)は、14日に新潟-苫小牧便で道内に入ったが、フェリー乗船中、公演中止の知らせを受けた。すぐに新潟へ戻る便を予約したが、18日の便がやっと5台分だけ取れたという。せっかくの北海道往復が無駄足になり「仕事にならないよね」と疲れた表情で話した。小樽港で日本海航路のフェリーのキャンセル待ちをしている仲間もいる。
本州では、軽油不足に伴う給油制限が運転手を悩ませるという。水道用機材を釧路で降ろして長野へ戻るトラック運転手、大竹政則さん(52)=長野県松本市=は「1回に50~100リットルしか入れられず、何度もこまめに給油せざるをえない」とこぼし、こう続けた。「状況は確かにつらい。でも、こんな時だからこそ、しっかりものを運ばなければ」
北海道新聞
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/economic/279697.html
夕暮れ時、港に面した同港駐車場には午後7時30分発の秋田・新潟行きを待つ約300台のトラック、シャシー、作業用車両などがずらりと並んでいた。
ガス管工事の機材などを積んだワゴン車の運転席に、作業衣を着たJFEエンジニアリング東北支店勤務、成田孝則さん(56)=宮城県多賀城市=の姿があった。「14日に支店と電話が通じ、とにかく帰ってこいと指示が出た。まだ、これからの仕事は分かりませんが…」。ガスや水道などが止まった地元では、復旧に向け技術者が多く必要になる。
成田さんが同僚3人と仙台発苫小牧行きフェリーで北海道入りしたのは2月中旬。札幌で請け負ったガス管工事を続けてきたが、帰還指示を受け、札幌の工事は18日午前までとし、あとは協力会社に任せることになった。震災で太平洋航路は既に運休。混雑する日本海航路の予約をとれたのが18日の便だった。
4人はワゴン車とトラックに分乗し、車には救援物資も積んである。地元に持ち帰るため札幌で箱単位で買ったカップラーメンや、道内の協力企業からの差し入れのミネラルウオーターのペットボトルなどだ。幸い、成田さんの家族は無事だが、自宅は浸水し妻の知人宅に移った。「被害の様子を自分の目で確かめたい。きっと想像以上にひどいだろう」と静かに話した。
秋田・新潟行きを運航する新日本海フェリーなどによると、太平洋航路の欠航に加え、JR貨物の盛岡以南が復旧していないこと、被災地支援に向かう自衛隊車両などを優先する事情も重なり、日本海航路は混雑で満車、キャンセル待ちが続いている。
18日の便もシャシーを含めトラック170台、作業用車両や乗用車120台で満車に。積み込みに時間がかかり、出港は50分遅れた。キャンセル待ちはトラックと乗用車合わせて約70台を数えた。
茨城県から来た運転手木村泰裕さん(27)は、道内への輸送は今回が初めて。震災後、新潟-小樽便で牛乳やジュースを入れる紙パックを運び込み、空荷で本州へ戻る。「紙の輸送に普段は貨物列車を使う。運休中だったのでトラックで運ぶことになった」と話す。
仲間の30台と一緒に関東から札幌で開かれるコンサート用機材を運んできたトラック運転手(48)は、14日に新潟-苫小牧便で道内に入ったが、フェリー乗船中、公演中止の知らせを受けた。すぐに新潟へ戻る便を予約したが、18日の便がやっと5台分だけ取れたという。せっかくの北海道往復が無駄足になり「仕事にならないよね」と疲れた表情で話した。小樽港で日本海航路のフェリーのキャンセル待ちをしている仲間もいる。
本州では、軽油不足に伴う給油制限が運転手を悩ませるという。水道用機材を釧路で降ろして長野へ戻るトラック運転手、大竹政則さん(52)=長野県松本市=は「1回に50~100リットルしか入れられず、何度もこまめに給油せざるをえない」とこぼし、こう続けた。「状況は確かにつらい。でも、こんな時だからこそ、しっかりものを運ばなければ」
北海道新聞
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/economic/279697.html