地価公示、道内20年連続マイナス 倶知安町除く全地域で下落
国土交通省が17日、地価公示(2011年1月1日時点)を発表したが、道内の地価は1992年以降20年連続で下落した。外国資本のリゾート開発が進む倶知安町を除く全地域で下落。地方都市は全般に下落傾向が続く。札幌市は不動産投資に底打ち感もみられるが、巨大地震が発生し外国為替相場も不安定なことから、今後の経済環境は厳しそうだ。
全道の平均価格(調査地点1371地点)は前年比4.8%下落し、4万8500円だった。道内の地価は4万8700円だった1982年当時と同水準になった。下落率は1年前と比べて0.6ポイント縮小したが、3.0%下がった全国平均と比べると大きい。
上昇率全国2位
道内では倶知安町が唯一、2.9%上昇した。なかでもニセコ地区の花園スキー場付近は9.4%増の7000円と、住宅地で全国2位の上昇率。同地区では香港のPCCWグループが近隣に1000億円超を投じてホテルやコンドミニアムを建設する計画を進めるなど、外資による開発が活発だ。
札幌市では住宅地が4.2%低下。下落率は1年前より1.0ポイント縮小している。都心部など利便性の高い地域でマンション需要が回復基調にあり在庫も減少、不動産会社は分譲を強化している。札幌市の商業地は景気低迷で不動産投資やビル開発が停滞し、5.3%下落。すすきの地区では飲食店の客数が減り、テナントの撤退も目立つ。
函館7.1%低下
一方、それ以外の都市では下落率が高い地域が目に付く。函館市は商業地が7.1%下落。なかでも観光地の五稜郭公園に近い市中心部の「本町」の標準地が18.1%下落と道内最大の下落率を記録し、全国でも下落率3位だった。
2015年度に北海道新幹線の新函館駅(仮称、北斗市)が開業予定にもかかわらず、JR函館駅前の和光ビルの標準値も15.1%下落。渡島総合振興局は「景気低迷や郊外大型量販店への顧客流出が影響した」とみる。
釧路市は住宅地が6.6%下落。1974年に調査を開始してから最大の落ち込みだった。市内の住宅地は供給過剰で需要も減っている。そこに拍車をかけたのが「(市郊外の)昭和地区の土地区画整理事業で保留地処分の単価が引き下げられたこと」と指摘するのは、不動産鑑定士の下重勝博氏。その他地域の下落の引き金となった。
旭川市は住宅地が4.1%の下落だが、下げ率は3.3ポイント縮小。4月の氷点橋開通でJR旭川駅など中心市街地と直結する神楽地区が市内調査地点で唯一の横ばいだった。「利便性の向上を受けて高値での取引も出始めている」(地元不動産会社)。一方、郊外の春光台は需要が乏しく2ケタの下落が続く。
旭川市の商業地は20年連続で下落。ただ中心市街地商店街の買物公園と隣接する飲食店街のサンロクには下落率に差が出た。市が積極的な投資姿勢を打ち出した買物公園の下げは小さい。今後は駅前再開発「北彩都」事業で広大な商業地が供給されるため、下げ圧力が強まるとの見方もある。
日本経済新聞
http://www.nikkei.com/news/category/article/g=96958A9C93819491E3E5E2E2E38DE3E5E2E1E0E2E3E3EBE6E29FE2E2;at=ALL
全道の平均価格(調査地点1371地点)は前年比4.8%下落し、4万8500円だった。道内の地価は4万8700円だった1982年当時と同水準になった。下落率は1年前と比べて0.6ポイント縮小したが、3.0%下がった全国平均と比べると大きい。
上昇率全国2位
道内では倶知安町が唯一、2.9%上昇した。なかでもニセコ地区の花園スキー場付近は9.4%増の7000円と、住宅地で全国2位の上昇率。同地区では香港のPCCWグループが近隣に1000億円超を投じてホテルやコンドミニアムを建設する計画を進めるなど、外資による開発が活発だ。
札幌市では住宅地が4.2%低下。下落率は1年前より1.0ポイント縮小している。都心部など利便性の高い地域でマンション需要が回復基調にあり在庫も減少、不動産会社は分譲を強化している。札幌市の商業地は景気低迷で不動産投資やビル開発が停滞し、5.3%下落。すすきの地区では飲食店の客数が減り、テナントの撤退も目立つ。
函館7.1%低下
一方、それ以外の都市では下落率が高い地域が目に付く。函館市は商業地が7.1%下落。なかでも観光地の五稜郭公園に近い市中心部の「本町」の標準地が18.1%下落と道内最大の下落率を記録し、全国でも下落率3位だった。
2015年度に北海道新幹線の新函館駅(仮称、北斗市)が開業予定にもかかわらず、JR函館駅前の和光ビルの標準値も15.1%下落。渡島総合振興局は「景気低迷や郊外大型量販店への顧客流出が影響した」とみる。
釧路市は住宅地が6.6%下落。1974年に調査を開始してから最大の落ち込みだった。市内の住宅地は供給過剰で需要も減っている。そこに拍車をかけたのが「(市郊外の)昭和地区の土地区画整理事業で保留地処分の単価が引き下げられたこと」と指摘するのは、不動産鑑定士の下重勝博氏。その他地域の下落の引き金となった。
旭川市は住宅地が4.1%の下落だが、下げ率は3.3ポイント縮小。4月の氷点橋開通でJR旭川駅など中心市街地と直結する神楽地区が市内調査地点で唯一の横ばいだった。「利便性の向上を受けて高値での取引も出始めている」(地元不動産会社)。一方、郊外の春光台は需要が乏しく2ケタの下落が続く。
旭川市の商業地は20年連続で下落。ただ中心市街地商店街の買物公園と隣接する飲食店街のサンロクには下落率に差が出た。市が積極的な投資姿勢を打ち出した買物公園の下げは小さい。今後は駅前再開発「北彩都」事業で広大な商業地が供給されるため、下げ圧力が強まるとの見方もある。
日本経済新聞
http://www.nikkei.com/news/category/article/g=96958A9C93819491E3E5E2E2E38DE3E5E2E1E0E2E3E3EBE6E29FE2E2;at=ALL