札幌市消防局:スプレー缶無料回収 北署先行、事故防止狙い /北海道 | くしろぐ

札幌市消防局:スプレー缶無料回収 北署先行、事故防止狙い /北海道

札幌市消防局は3月から、札幌北消防署で、一般家庭からごみとして出されるスプレー缶や卓上コンロ用ガスボンベの無料回収を始めた。同消防署がモデル事業として実施し、後に市内全域に広げる。同市では回収したスプレー缶などから漏れたガスがごみ収集車内で引火するケースが多発し、缶からガスを抜いていた住民がやけどを負う事故も発生。消防署が一括回収することで事故を防ぐ狙いがあり、「道内では初の試み」(同消防局)という。【吉井理記】

回収を実施するのは同署と、あいの里や新川など同署管内の七つの出張所で、いずれも同市北区内。午前7時~午後10時に職員に直接手渡す。ガスが抜かれていないものも引き取り、同署などで分別や穴開けなどの処理を施し、市環境局に引き渡す。

対象は一般家庭に限っており、焼き肉店のガスボンベなど事業者のものは受け付けない。同消防署によると、1~7日で約130本を回収したという。

同市ではスプレー缶などを捨てる場合、中身を使い切り、穴を開けガスを抜いて透明な袋に入れて捨てるよう呼びかけているが、ルールを守らない人がいる。また、高齢者の中には「穴を開けるのが怖い」という声も多いという。

同市消防局によると、06年以降、ごみ収集車の火災は年82~141件も発生。昨年は88件だった。いずれもスプレー缶などから漏れたガスに、ごみを圧縮する過程で発生した火花が引火したとみられ、被害額が100万円を超えた年もある。室内で穴開け中にガスがストーブや湯沸かし器の火に引火し、やけどを負う事故も昨年だけで4件発生した。

道内の主要都市では、札幌市同様、旭川市や小樽市、釧路市などが捨てる際に穴開けを求める。一方、住民の引火事故を防ぐために、江別市や苫小牧市などは穴開けを求めていないが、収集車の火災に頭を痛めている。

札幌市消防局は「消防署員の負担は増えるが、事故は減る可能性がある。札幌北消防署の実施結果を検証し、早期に全市で回収を実施したい」と話している。

毎日新聞
http://mainichi.jp/hokkaido/shakai/news/20110308ddlk01040193000c.html