入試問題ネット流出 道内大学にも波紋 | くしろぐ

入試問題ネット流出 道内大学にも波紋

■チェックし過ぎ人権問題
■全員検査は物理的に困難

京都大学や同志社大学、早稲田大学などで試験時間中に入試問題がネット上に流出した問題で、道内大学の入試担当者や受験生の間にも波紋が広がっている。3日には公立高校の入試が、12日からは国公立大2次試験の後期日程が控えているほか、私立大の中には入試日程が残っている大学もある。各大学では対応に頭を悩ませる一方、受験生からは憤りの声が上がった。

■受験生「ずるい」「冒涜」

道内の各大学では、試験の開始直前に携帯電話の電源を切ってカバンにしまうよう受験生に指示している。

北大では、試験官の配置は60人以下の部屋に2人、受験生が30人増えるごとに1人増やすという。入試課の担当者は「チェックを厳しくし過ぎると受験生の人権にもかかわってくる」と対応に苦慮する。12日にある後期日程の対応は、今後考えるという。

旭川医大では「今後何らかの対応が必要になるかもしれないが、全員のボディーチェックなどは物理的にも難しい」という。

8日に中期日程の学力検査を控える釧路公立大は「入試は公平が前提。あってはならないことだ」とショックを隠せない。公立はこだて未来大では「机の構造からして、携帯を隠しながら使うことは可能かもしれない。だが、ずっと下を向いていたら試験官はカンニングだと怪しむはず……」と想像つかないといった様子。「手口によっては、携帯の持ち込み禁止ということにもなってくるのでは」

単科大学の小樽商大の担当者は「うちのように受験生が少ない大学では、何かやれば目立つし難しい」としながら「大規模な大学は入学希望者も多い。リスクを犯してでも合格したいとか、単に目立ちたいといったことがあるのだろうか」と推測した。道教育大は「どうやって流出したか分からないが、マークシートの方がやりやすいはず。今後、センター試験への対応も必要になってくるのでは」と指摘する。

一方、一般入試の「後半戦」を迎える私立大にも影響を与えている。7日にB日程の学力検査が実施される札幌学院大は、受験生に伝える注意事項を取りまとめた矢先だった。「原因が分からない段階では、試験監督の巡視を厳格にしたり、携帯の取り扱いの注意喚起を強めたりする対応しかできない」

札幌大はB日程を6日に控えている。「巡視は重要だが、あまり頻繁になって受験生の気が散るようでもいけない」と頭を悩ませる。

今回の問題は、受験生にもショックを与えた。札幌市内の男子高校生(18)は「ずるいと思う。許されないことだし、早く犯人を見つけてほしい」と話す。別の男子高校生は「みんな一生懸命勉強している。大学と受験生全体に対する冒涜(ぼうとく)」と憤る。

本州の国立大学を受験した男子高校生(18)は、受験生30人の教室に試験官が3人いたという。「不正をするのはとても無理。大学側の監督態勢がきちんとしていたのかも気になる」と話した。

3日には公立高校の入試が行われる。道教育委員会では「携帯電話、PHSなど公正を損なうおそれのあるものの持ち込みは認めない」とした入試要項を踏まえ、事前確認を徹底するよう2月28日、道内各教育局に連絡した。

朝日新聞
http://mytown.asahi.com/hokkaido/news.php?k_id=01000001103010007