【拙文】商社とユーザーフレンドリー | くしろぐ

【拙文】商社とユーザーフレンドリー

ユーザーフレンドリーが叫ばれる昨今、ついに和商で訪問販売が始まったと聞く。
直ぐ様に疑問が浮かぶ「ついに?」と。
何故かと言えば日本にはそもそも「御用聞き」と言う文化があった。
解り易い例を挙げるならばアニメサザエさんのサブちゃんだろう。
この文化の発祥は江戸時代の上級士族である旗本相手に商人が専任して訪問販売をしていたのが元の様だ。

では何故この文化が廃れたかと言えば巨大資本の商社が興隆を極め、商店街にある小回り効く商店を結果的に潰したからだ。
景気の良かった当時の商社はその土地へドシッと座り「お客はあちらから来るもの」と言う考えで営業していた。
そして不景気の今になり商店の真似をして御用聞きに奔走すると言う具合になっている。

別に巨大資本の商社を批判する訳じゃない。競争原理の元に求め易い価格で販売してくれるデパートやスーパーは庶民の味方だろう。
しかし、競争力の弱い小さな商店も庶民の味方だったのは言うまでもない。彼らには自らも地域住民だと言う自覚があった。
御用聞きを開始した商社には地域住民と言う自覚があるだろうか?

お隣の街の根室市には生鮮食品をまともに購入出来る商業施設がイオングループのジャスコ、そして生協しか無い。
例えばこの2つが決定的な失態を侵し、根室市から撤退せねばならない状況へ陥った時に根室市民は「買い物難民」へとなってしまう。
お金があっても物が買えない状況となり、そこへ悪徳業者が暴利を貪る為に進出して来たら根室市民は泣く泣くそれを買うしか無いのだ。

商社がやらなければならないのはユーザーフレンドリーでは無く「地域住民化」なのでは無いかと思わずに居られない。
「地域住民化」とは人と人、人と店、店と店の繋がりだ。
我先にと利益を得ようとするのでは無く、地域での相乗効果を考えて商業を考えなければならない。

自分の古巣、愛知県名古屋市では現在の政府の方針とは逆行した減税路線だ。
新興国の例を参考にし、地方の活性が国家の活性へ通じると言う考えで減税路線を打ち出している。
経済規模が違い過ぎて名古屋市をそのまま参考にする事は難しいが、これもまた地域住民化を進める一歩なのかも知れない。
人と企業を集め、雇用と業績を促進し、相乗効果で名古屋市全体を盛り上げると言った風に。