大相撲、巡業中止に落胆 夏開催予定の福島・釧路・帯広
大相撲の八百長問題が、横綱をはじめ数多くの力士を生み出した道内各地にも影を落としている。巡業を予定していた福島町や釧路、帯広両市の関係者は、中止の決定に落胆。元横綱の記念館があったり、力士を観光の立役者にしたりしている地域は、悪影響を心配している。
◆「来年に望みを」
八百長問題を受けて日本相撲協会が中止を決めた巡業は、道内では夏の風物詩となってきた。今年は横綱・千代の富士(現・九重親方)の出身地、福島町での開催が予定されていた。
同町によると、昨年秋ごろ、相撲協会巡業部長の九重親方から「福島町で開催したい」との打診があった。1月25日には立田山親方(元幕内・薩洲洋)の訪問を受け、8月9日の開催を見込み、会場や力士の宿泊地などを打ち合わせた。
ところが今月6日、立田山親方から電話があった。「巡業が中止になり、福島でも開催できなくなった。ご迷惑をおかけします」
町内には落胆が広がっている。村田駿町長は「予想外のことになり困惑しているが、相撲で町を盛り上げることは変わらない」。飲食業の女性(62)は「多くの人が来てくれて助かるだけに残念」と話した。
巡業を心待ちにしていた地域も肩を落とす。
釧路市では2009年に17年ぶりの巡業開催を計画したが、リーマン・ショックの影響でスポンサーがつかず断念。その借りを返すべく、今夏の開催を目指し、1月には元市議らによる準備委員会を立ち上げ、相撲協会にも招致の意向を伝えていた。
だが今月6日、尾上親方(元小結・浜ノ嶋)から巡業中止の連絡を受けた。尾上親方は10日にも釧路入りし、経緯を説明する予定という。
帯広市では、地元の経済界関係者らが14年ぶりの市内開催となる「十勝場所」を今夏に計画。近隣の芽室町出身の芝田山親方(元横綱・大乃国)も前向きで、帯広商工会議所の高橋勝坦会頭らの協力も得ていた。高橋会頭は中止決定に「地域の活性化につながるだけに、ぜひやりたかった。来年の開催に望みを託したい」と語った。
◆相撲ゆかりの里に影 大鵬育った弟子屈 白鵬がPR滝川
北海道からは数多くの力士が誕生し、道内各地に「ゆかりの地」がある。それらの地域にも八百長問題は影を落としている。
名横綱・大鵬=本名・納谷幸喜氏=が少年時代を過ごした弟子屈町の「川湯相撲記念館」。大鵬の偉業をたたえた施設で、相撲人気が高まった「若貴時代」には入場料収入が月100万円を下らなかった。だが、相撲人気の低迷につれて収入も減少。今年1月は10万円ほどに落ち込んだ。
同館は「一生懸命やっても、もう限界」と嘆き、「明るい話題がなさすぎる。相撲協会がしっかりしなくてはだめだ」と注文をつけた。
滝川市は昨年6月、横綱・白鵬関を任期3年の「観光大使」に迎えた。就任2年目の今年は、5月末の「たきかわ菜の花まつり」や横綱にちなんだ「白鵬米」の田植え・稲刈りのような行事に2回ほど訪れる予定だ。
しかし、市産業観光連携室の阪本康雅室長は「巡業もすべて中止になり、どうなるかはわからない」と心配げだ。「何とか早い時期に解決してほしい」と願っている。
朝日新聞
http://www.asahi.com/sports/spo/HOK201102100004.html
◆「来年に望みを」
八百長問題を受けて日本相撲協会が中止を決めた巡業は、道内では夏の風物詩となってきた。今年は横綱・千代の富士(現・九重親方)の出身地、福島町での開催が予定されていた。
同町によると、昨年秋ごろ、相撲協会巡業部長の九重親方から「福島町で開催したい」との打診があった。1月25日には立田山親方(元幕内・薩洲洋)の訪問を受け、8月9日の開催を見込み、会場や力士の宿泊地などを打ち合わせた。
ところが今月6日、立田山親方から電話があった。「巡業が中止になり、福島でも開催できなくなった。ご迷惑をおかけします」
町内には落胆が広がっている。村田駿町長は「予想外のことになり困惑しているが、相撲で町を盛り上げることは変わらない」。飲食業の女性(62)は「多くの人が来てくれて助かるだけに残念」と話した。
巡業を心待ちにしていた地域も肩を落とす。
釧路市では2009年に17年ぶりの巡業開催を計画したが、リーマン・ショックの影響でスポンサーがつかず断念。その借りを返すべく、今夏の開催を目指し、1月には元市議らによる準備委員会を立ち上げ、相撲協会にも招致の意向を伝えていた。
だが今月6日、尾上親方(元小結・浜ノ嶋)から巡業中止の連絡を受けた。尾上親方は10日にも釧路入りし、経緯を説明する予定という。
帯広市では、地元の経済界関係者らが14年ぶりの市内開催となる「十勝場所」を今夏に計画。近隣の芽室町出身の芝田山親方(元横綱・大乃国)も前向きで、帯広商工会議所の高橋勝坦会頭らの協力も得ていた。高橋会頭は中止決定に「地域の活性化につながるだけに、ぜひやりたかった。来年の開催に望みを託したい」と語った。
◆相撲ゆかりの里に影 大鵬育った弟子屈 白鵬がPR滝川
北海道からは数多くの力士が誕生し、道内各地に「ゆかりの地」がある。それらの地域にも八百長問題は影を落としている。
名横綱・大鵬=本名・納谷幸喜氏=が少年時代を過ごした弟子屈町の「川湯相撲記念館」。大鵬の偉業をたたえた施設で、相撲人気が高まった「若貴時代」には入場料収入が月100万円を下らなかった。だが、相撲人気の低迷につれて収入も減少。今年1月は10万円ほどに落ち込んだ。
同館は「一生懸命やっても、もう限界」と嘆き、「明るい話題がなさすぎる。相撲協会がしっかりしなくてはだめだ」と注文をつけた。
滝川市は昨年6月、横綱・白鵬関を任期3年の「観光大使」に迎えた。就任2年目の今年は、5月末の「たきかわ菜の花まつり」や横綱にちなんだ「白鵬米」の田植え・稲刈りのような行事に2回ほど訪れる予定だ。
しかし、市産業観光連携室の阪本康雅室長は「巡業もすべて中止になり、どうなるかはわからない」と心配げだ。「何とか早い時期に解決してほしい」と願っている。
朝日新聞
http://www.asahi.com/sports/spo/HOK201102100004.html