韓国映画「宝くじの不時着 1等当選くじが飛んでいきました」を見てきました。会場はシネ•ギャラリーという、選ばれた名作を上映する小さな映画館です。この作品は、低予算で大スターの出演もないのに韓国で大ヒットしたと以前ネットニュースで読み、楽しみにしていました。家族を誘ったら夫と次女も行くことになり、珍しく3人での鑑賞になりました。

 

 ソウルの居酒屋のテーブルから風で舞い上がった1枚の宝くじが、軍用車に張り付いて38度線の監視所に運ばれ、パク•チョヌ兵長(コ•ギョンピョ)に拾われます。たまたま見ていたテレビでそれが6億円の当たりくじだと知ったチョヌは大喜びしますが、監視塔での任務中に宝くじは再び風に舞い上がり、軍事境界線を越えてしまいます。夜中にこっそり宝くじを探しに北朝鮮の領土に入ったチョヌは、それを拾った兵士リ•ヨンホ(イ•イギョン)にくじを返すように交渉しますが、上手くいきません。それぞれ仲間に相談して、韓国側はチョヌとカン小哨長(ウム•ムンソク)、マンチョル上等兵(クァク•ドンヨン)、北朝鮮側はヨンホと政治指導員スンイル(イ•スンウォン)、チョルジン上級兵士(キム•ミンホ)と3対3での話し合いとなり、宝くじを韓国側が換金して北朝鮮側に半分渡すまでの1週間、お互いの兵士を1人ずつ人質として交換することに話がまとまります。・・・

 

 あらすじが長くなってしまいました。映画を見ていても、ここまでの説明に序盤のかなりの時間が費やされ、その間は正直言ってそれほど面白くありませんでした。ただ、事前に宝くじが北朝鮮に飛んでいった話と聞いて、そんなことある🤔?と思っていた疑問は解けたので、必要な描写だから仕方ないのかもしれません。

 

 そしてそれが過ぎてからはとっても面白かった😆!お互い相手国の兵士になり済ますための言葉の特訓(韓国の略語がたくさん出てきましたが、韓国語が分かればもっと面白かったんだろうなあ)、人質交換してから周りを騙すためのバタバタなど。特に韓国の兵士になり済ましたヨンホが、出身地を聞かれてハン・・・と言いかけハンブルクと誤魔化したために、ドイツ語でどうして韓国軍に入ったのか話せと命令されて、丸暗記していたドイツ映画の台詞をそらんじ、それをマンチョルが適当に翻訳して聞かせて兵士たちが感動して涙を流す場面は、お腹が捩れるほど笑いました😆。

 

 他にも実力をつい発揮したために注目され、平壌に送られそうになる場面や北の女性兵士とのほのかな恋の場面、宝くじを換金するために銀行に向かう場面など笑える場面、微笑ましい場面がたくさんで、悪者もあまり強くなかったのでストレスなく楽しむことができました。

 

 自分たちの利益のために敵対していたのが、お互いに親しみを感じるようになり、南北統一してまた会いたいと夢を語る登場人物たちに心温まったし、同じ民族なのに分断されている切なさも感じました。「ムービング」も北と南の対立の話でしたが、雰囲気が全く違いました。

 

 結局どうやって換金したのかとか、現金の行方はあれでいいのかなどと雑な部分もちょっとありましたが。でも大金をかけなくても脚本と演技の良さで楽しませてもらえて、こういう映画もいいなあと話しながら帰路につきました。