先日の大人のための朗読会は楽しかった。
何がって、参加者が一様に本の内容・・と言うよりも本の主人公の人間性にむかつく・・それを言葉や態度に出したことだった!!
結構雨が降っているので少ないかと思っていた参加者は二〇名弱。
おかげさまで定着したようだ。
みんながむかついた本は太宰治の『饗応夫人』
亡き夫の友人が夫亡き後の家に図々しく出入りし、食事を出させて、同僚までも連れ込む。それを断ることが出来なくて、心身の負担がありながら無理してまでサービスする『饗応夫人」を
お手伝いの女性からみた視点で書いた本だった。私だったら選ばないし、読まないだろう本だった。朗読会が終ってすぐに「むかつく!」と吐き出すように言った男性。
まったく「人間失格だ」『むかつくのは夫人もだ。なぜNOをいわない?」
終ってからも、その後、道で会った参加者ともその本の感想が話題になった。
で、つくづく思ったことがある。こんなにいろいろ感想が率直に話したくなるって、実はすごい文学なのかも・・そして、素晴らしい朗読だったのかも・・。
人間の嫌な感情を取り出して、そこを膨らめて書いているのではないか。
大人の文学とは、本来きれい事ではなく、業(ごう)を描くものではないのか。
感想がいいにつけ悪いにつけ、読後に話しが盛り上がるのは実は素晴らしい文学なのかも・・。
来月の予告を読み手に一言づつ言ってもらった。その内容はサラに「笑い」を誘った。
Yさん・・「僕の紹介する文学はもっとむかつくかも・・なぜって、核の女性の研究者の業績を横取りしてノーベル賞を受賞した男性のお話しです・・」
Mさん・・「私は純粋な心になれる文学を読みます」と憮然と・・。
彼女は仏典童話を読んで下さる予定。
様々な感情の発露を文学で味わえるのは至福のひとときなのかもしれない。