2011年の春は しいんと 静まり返っていた。
開花宣言を聞いて、思い出したように近くの神社に桜を見に出かけた。
いつもなら出店がいっぱい立ち並び、
たくさんの人であふれていた参道には
桜だけが満開に咲き誇っていた。
神社に続く階段の両脇には黄色のテープが張られ
そちこちに壊れた石灯篭が散らばっていて無残だった。
それでも、桜は何もなかったようにみごとに咲いている。
上まで登ってお参りを済ませて眺めると
凛として花を咲かせた桜の木々の向こうに
青いシートをかぶせた屋根屋根が見渡せた。
初めて見る光景に自然への畏敬を感じた春だった。