そう考えていると、今度は教室の入り口から特殊な気配を感じました。

僕は頬杖をつき、その存在を待ちます。すると、予想通りに一人の生徒が現れ、学ランを着たその生徒、真田は瞬く間に僕の目の前に現れました。


(11月29日) 12

そして、僕の目の前にいたあゆみにとび蹴りを入れます。

とりゃあ!

しかし、あゆみは瞬時に一歩下がり、真田はあゆみの残像を蹴りました。次の瞬間、あゆみが右手で窓を開け、真田の背中を押して窓の外へ放り出します。

にゃあ!?

真田!?

僕は思わず立ち上がり、彼の足をつかみかかりました。しかし、わずかに手が届かず、真田が校舎の三階の窓から放り出されます。

同時に、僕の席の隣の床が開き、そこから真田が現れました。

彼は朗らかな笑みを作り、僕に話しかけます。

さぁ~て。今日のテストは終わったね

えっ? あ、ああ…… (ってか、今の前置きは何だ……?)

よく分かりませんが、真田は無事のようでした。僕は安心し、席に座りなおします。そして、真田が僕に顔を近づけて、口を開きました。

BSEの問題。分かった? あの程度の問題は時事問題であって、知っていて当然。でも、分からなくても後悔することないよ。今覚えて、今後に役立つ程度の知識だからね

顔が近いよ……でも、BSEは分からなかったなぁ。あゆみから聞いたけど、牛海綿状脳症―――ってやつでしょ

すると、真田は顔を離し、軽くうなずきます。しかし、目を細めてあゆみをにらみつけました。

へぇ~。うねうね女王にも分かったのか。油断したなぁ~。それに、香君には分からなかったなんて―――それじゃあ、こっちが不利になりそうだね

こっちと言われ、僕は不審を抱きます。すると、あゆみが両手を頭の後ろに組み、一歩前に出て先ほどの位置を維持しました。

まぁね。ボクだって、やる時はやるよ。それに、ボクの約束。覚えているよね? う・ね・う・ね・だ・い・じ・ん

彼女はそう言って、真田に視線を返します。

〔つづく〕

登場人物

草薙 香    主人公

真田 刃(剣) 香の親友(ある事情で、兄を演じる香の彼女)

宮司 破魔  眼鏡の学級委員長

西藤あゆみ   ボクッ子の迷惑少女、香の同級生

草薙 奈留  初登場、クラスメート。香と血縁はない。お嬢様

クルミ先生 香のクラスの担任の女教師

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ストーリーの概要

草薙香の小説・アーカイブ(あゆみと香toベイン・ドリーム)

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