(11月29日) 9

しかし、クルミ先生は詫びの一つも入れずに、教卓を両手で叩きました。

お前らぁ! 今日から期末テストだ! カンニングだけは絶対にするな! オレの忠告が聞けないやつは即刻特別指導に挙げる! ―――もう一度言う! 草薙みたいになりたくなければカンニングするな!

えっ!? ちょっと、僕はカンニングしたことないですから! 前科があるみたいに言わないでください!

ほぼ反射的に抗議。すると、クルミ先生は再び教卓を両手で叩き、怒鳴りつけます。

更にもう一度言う! 草薙みたいに―――

聞きましたから! 無視しないでください! そして僕にチョークを投げつけた理由を教えてください!

僕が大声で訴えかけ、立ち上がりました。そして、クルミ先生が僕にこういいます。

そんなもん! ノリに決まっているだろうが! 分からんのか!?

(ノリでチョークを投げたの!? 教員としてどうだよ!?)

僕は口を閉ざし、その場に座りました。

以前から気になっていましたが、この学校の教員採用の基準点が分かりません。

近代では毎年のように教員試験がある話を耳にした事があるので、来年もクルミ先生がいるのかは分かりません。

僕が黙っていると、クルミ先生までも口を閉ざして硬直します。

三十秒ほど沈黙が続きました。そして、僕はクルミ先生に訊ねます。

あの……どうしました?

同時に沈黙が破られ、クルミ先生は僕に視線を送って怒鳴りました。

お前……草薙がツッコミを入れないから、どうしていいのか分からなくなっちまっただろうが!

(八つ当たり!?) 徒に責任転嫁しないでください! 用がないなら帰ってください!

我ながら、クルミ先生に対して酷い暴言を放ってしまいます。しかし、それでひるむクルミ先生ではありませんでした。

〔つづく〕

登場人物

草薙 香    主人公

真田 刃(剣) 香の親友(ある事情で、兄を演じる香の彼女)

宮司 破魔  眼鏡の学級委員長

西藤あゆみ   ボクッ子の迷惑少女、香の同級生

草薙 奈留  初登場、クラスメート。香と血縁はない。お嬢様

クルミ先生 香のクラスの担任の女教師

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ストーリーの概要

草薙香の小説・アーカイブ(あゆみと香toベイン・ドリーム)

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