研修医教育についての講演では、次のようなスライドを入れています(現役でなくなった最近では、指導医養成講習会の場を除いてこのテーマで講演することはなくなりました)。
指導医の仕事
・ 研修医の力を信じて、バックアップする
・ 研修医の力・素質を引き出し、個性を伸ばす
・ 研修医ともに学ぶ(学ぶ姿勢を伝える)
・ 研修医とともに悩む(患者への姿勢を伝える)
・ 研修医とともに成長する
その根底には、研修医への敬愛が必要
望ましい医師の姿を、自分の姿勢で伝える
・・・・ ロールモデル
巷野悟郎さん(小児科医/都立府中病院長などを歴任)はくりかえし「泣いているときに、おとなが手を貸すだけでいい。こども達は、教えなくても歩くようになるし、しゃべるようにもなる。育てるのではなく、できないことに手を貸すだけ。こども達は、自分で発達していくから・・・・。そして、こどもの成長を喜ぶ感情を素直にこどもに示してください。その気持ちがこどもに伝わり、こどもの成長発達をさらに促してくれます」と言っておられました(もちろん、いつでも誰でもそのように「成長発達」するわけではありませんが)。
この「こども」を研修医に置き換えて、私はこの文章を読んでいました。この言葉からコーチングを思い浮かべる方もおられるかもしれません。2,3歳の子育てをしている(母)親の姿を見ると、コーチング的なかかわりをしていることに気づきます。コーチングは愛情に裏打ちされたときに生まれるものなのです。大事なのは、技法ではなく愛情です。
「子どもたちの未来を信じ、子どもの育ちを見守り、手を添えること」が仕事である小児科医は、「研修医たちの未来を信じ、研修医の育ちを見守り、手を添える」研修医指導に最も向いていると私は思っています、他科の医師の前では言いませんが。