武蔵野赤十字病院の外科部長の一人が開業することになりました。ホームページの開院の挨拶に次のようなことが書かれていました。

 

 「12年間でこの地域の患者さん約3000人の手術に携わってきました。また、消化器外科部長として、ロボット手術の立ち上げなどに従事して参りました。

 受診された患者さんに体を預けていただくにあたり、まず患者さんと信頼関係を築くこと、そして患者さんの全身状態や背景を把握した上で最も適した治療を行うことを大切にしてきました。そして治療が無事に完了して、患者さんにかけていただく「ありがとう」の声を元気の源として12年間やってきました。
 一方で手術の経過が順調にいくと、その患者さんは病院から離れてかかりつけ医のもとに帰って行かれます。せっかく信頼関係を構築できた思い入れのある患者さんの、ほんの一部分しか診察できないことにもどかしさを感じていました。患者さんの近くで健康を末永くサポートしていきたい。そんな思いから、クリニック開業に至りました。」

 

 やっぱりね。この言葉は、ホームページ上での“美辞”ではなく、本音だと思います。

 彼を知っている身としては、武蔵野で頑張ってほしい人だと思っていただけに、私は少し元気が無くなりました。

 

 大病院の医者は、次々と手術や治療をこなすことが仕事になってしまっているのでしょう(手術件数が多いことが業績として評価されます)。自分の仕事がロボットのような気がしてしまっても仕方ありません。

 

 もしかしたら、退院後のフォローを依頼した医師の診療に不十分なものを感じたのかもしれません。残念ながら、そのような医療機関の存在も否定できません。「出過ぎたことをしたくない」という思いから、依頼された患者さんの診療を“最低限”にする医者がいてもおかしくはありません(私もそうするかもしれない)。

 

 病院医療の/コミュニケーションの足元が揺らいでいると感じます。