『PCSの男女差の話』『GOEの男女差の話』五輪・ワールドにおけるStSqのGOEを見る企画です。やたら長い記事になってしまいましたが、よかったらお付き合いください。Skatin…

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↑前の記事のさらに続き（？）です。もう1つ、やってみたいことができてですね。

Skating ScoresのSegment Total Queryの、「Mean PCS Mark（10点満点）」を、2019年以降の各試合（五輪・ワールド）で見るんですが・・・

今回は、グラフを4つに分けます。

Ⅰ　FS1～6番滑走の選手の平均値
Ⅱ　FS7～12番滑走の選手の平均値
Ⅲ　FS13～18番滑走の選手の平均値
Ⅳ　FS19～24番滑走の選手の平均値

まずは男子から。濃青がSP、薄青がFSのMean PCS Markです↓

6試合中1試合でSP<FSでした。なぜ今年だけFSが上に来たのか、お分かりですね？アダム（9.22）が平均を釣り上げたからです。

↑の6試合のうち、FS第1Gで9点台が出たのは、もちろん今年だけです。次点は2019サマリンの8.12ですから、異例っぷりがよく分かります。

6試合中3試合でSP<FSでした。2022は、棄権があったため5人分の数字です。

↑の6試合だと、FS第2Gで8.5以上取れたのは、2022エイモズと、2023リッツォだけです。2023にそうたくんがいるんですが・・・同組の選手は皆SP→FSでMean PCS Markが上がったのに、一人だけ同点でつけられてしまいました。

6試合中4試合でSP<FSでした。FS第3Gでの9点台は、「最終Gで滑ると思われてた人が予期せずここに入っちゃった場合」のみ出てる感じです。

今年のFSがだいぶ沈んでますが、ジャンプミスがやや多かったですかね・・・

6試合中5試合でSP<FSでした。↑の6試合、すべてFS最終Gで滑っている選手が1人います。しょうま様です。

Mean PCS MarkがSP<FSだった選手ののべ人数は、

Ⅰ　36人中11人
Ⅱ　35人中15人
Ⅲ　36人中23人
Ⅳ　36人中24人

です。4つ重ねるとこんな感じ↓

グラフの上下幅がえらい狭くなってるところもありますが・・・FSの滑走順が遅くなるほど、Mean PCS MarkはSP<FSになりがちのようです。

これが、滑走順補正の実態・・・じゃないですかね。選手の地力の問題説とか、いろいろあるでしょうが。

エイモズのボレロみたいな、「なんかやべぇの出た」って場合を除いて、SP<FSになるのはおかしいって、私は思ってますけど＾ｑ＾

次に女子です。濃オレンジがSP、薄オレンジがFSのMean PCS Markです↓

6試合中0試合でSP<FSでした。北京FSは25人滑る展開だったので、北京のみFS1～7番の平均値です。Ⅱは8～13番、Ⅲ以降も1番ずつずれてます。

↑の6試合だと、FS第1Gでの最高点は、北京マデリーンの7.74でした。

6試合中4試合でSP<FSでした。↑の6試合だと、FS第2Gで8点台が出たのは、北京カレンチェンのみ。グループ6番目の滑走でした。

FSを後半Gで滑ると思われてた人が予期せずここに入っちゃって、しかもジャンプ荒れ気味だと、SP8点台→FS7点台　になる現象が見られます。

6試合中5試合でSP<FSでした。↑の6試合だと、FS第3Gで9点台が出たことはありません。

1つ前の記事に載せたPCSグラフは、各試合TOP5の選手の平均値だったんですが、第3Gの平均値も下がり気味のようですね・・・

6試合中3試合でSP<FSでした。↑の6試合、すべてFS最終Gで滑っている選手が1人います。かおちゃんです。しかもFS TSS145以上が5回ですから、驚異の安定感です。

ただ、全体で見ると、女子FSの最終Gは浮き沈みが激しいかもしれません。北京は、SP→FSでPCSが急落した選手がいたため、FSの平均値が引き下げられています。←もういちいち触れんでいいか・・・

最終GでFSを滑っても、ジャンプミスが複数出ると、PCSはSP>FSになりますわな。

Mean PCS MarkがSP<FSだった選手ののべ人数は、

Ⅰ　37人中8人
Ⅱ　36人中16人
Ⅲ　36人中25人
Ⅳ　36人中23人

でした。4つ重ねるとこんな感じ↓

で。

「滑走順によるPCSプラマイ補正」「ジャンプミスによるPCSマイナス補正」、どっちが強くなるかの閾値みたいのを探したいと思いまして。

まあ、ジャンプミスと言っても色々ですよね。「1コケでも他のクオリティは落ちてなかった」パターンもあり・・・本当に「他のクオリティは落ちてなかった」のかどうかは、ジャッジ席に座ってたジャッジにしか判断できないでしょうが。

微妙なのが「パンクしたけどGOEプラスだったジャンプ」ですね。これはPCSへの影響は少ないだろうということで・・・今回はカウントしませんでした。

で。

上記6試合の、男女Ⅰ～ⅣのFSのジャッジスコアの中身を見て、演技を以下のように分類しました。

①FSでGOEマイナスのジャンプが0～1本
➁FSでGOEマイナスのジャンプが2本
③FSでGOEマイナスのジャンプが3本以上

①➁③それぞれに、Mean PCS Markとの関係を表にしました。

表内の分数は、

です。

まずは男子から↓

③の行を見ると、「3ミスしちゃうと、滑走順によるPCSプラス補正が効きづらくなる」と分かります。

一方①の行では・・・「FSを前半Gで滑ると、0～1ミスでまとめても、SPより低いPCSをつけられる場合が多い」という、エグい結果に。ただしこの表、パンクありの演技も①でカウントしてるんで・・・雑な集計ですいませんね＾ｑ＾

③の分母が、滑走順が早いほど大きくなってたり、①の分母はⅣが最大だったり・・・地力、ってことですかねぇ。

「FSジャンプミス3つ以上でSP<FSだったケース」の中身を見ると・・・

・3ミスだけど個々の減点は軽微だった
・SP→FSで上昇幅がわずか（誤差？
・SPのPCSが低めだった
・前の選手のPCSに引きずられて上がった？
・実績点？
・よからぬ理由が疑われる

・・・等々でしょうか。※原則演技の画は見ず、ジャッジスコアだけを見てるので、話半分で聞いてください

ⅢとⅣは、まあそんなに差がないですかね。SP<FSだった選手に限って、「SP→FSでMean PCS Markが何点上がったか」を見ると、

Ⅲ　平均0.24　最大0.60
Ⅳ　平均0.18　最大0.55

・・・ですが、これは、Ⅳの選手はSPでしばしば9点台を取る（≒天井が見えてる状態になる）ので、FSで取りうるPCSの上昇幅が狭いんだと思われます。

女子も並べてみましょう↓

①の分母はⅣが最大、③の分母はⅠが最大、というのは共通ですね。Ⅳを見比べると、「女子FSの最終Gは浮き沈みが激しい」という、なんとなくの印象の原因が分かるかも？？

ただし、①の分母の合計は、

男子　42
女子　47

なんです。「男子が高めの構成を組んで2ミス以上してしまう」パターンが多いせいでしょうな。

女子の③Ⅳは、46%と高めに出てますが、主に2～3年前の数字が反映されており、今年のワールドで③Ⅳに該当した選手は、全員SP>FSでした。

「①Ⅳで（FSを最終Gで滑って0～1ミスでまとめたのに）SP>FS」が、男女合わせて6件ありますが、6件中5件が、SPFSともに9点台でした。これも「天井が見えている」せいと思われます（？

後記

ジャンプの成功本数とPCSの関係って、どうなんでしょうね。

ジャンプ揃った時って、テンション上がって踊りがキレッキレになったり、半ば無意識で2割増でディープに乗れてたり、ありそうな気はします（？

COは、ジャンプ揃う揃わないにかかわらず、どれだけ予定通りにできるかって話でしょうが・・・たとえ軽微でもジャンプミスがあると、「予定通りにできなかった」が少しずつ蓄積してくので、まあ、ジャンプ揃った時のクオリティが、一番高くなるのかなぁ。

PCSが妙に高くor低くついた時、その点数の正当性って、ジャッジ席で見てた人にしか分からないんでしょう、きっと。

・・・それでも、「なんじゃこりゃ」事案は、やめてほしいよねぇ。

COPRの素点をSP<FSでつけるの、私は原則ナシだと思ってて。FSのほうが係数が大きい（＝最終順位を決める時に、SP PCSよりFS PCSのほうが重視される）のも、面白くないですわ。

現状の、「建前上絶対評価の10点満点」でやってる限り、諸問題は解決しない気がしますけどね。

滑走順補正の話