志野といわれる白い陶器が多数伝世しています。なぜ志野といわれるかについては定説はないようです。16世紀後半美濃(岐阜県南半)の可児、土岐郡で焼かれたものです。動機は中国から輸入していた白磁を自家製したい。しかし、真の白磁は磁胎が純白なカオリンの上に透明釉がかかって白くみえるに対し、志野は艾土といわれる陶胎(ビスケット色)に白い長石釉をかけているが故に白いので同じ白でも見た目違います。当初あな窯で焼かれたものは膚にぽつぽつピンホールと釉が薄い部分にはほのぼのとした火色(赤い焦げ)が生じ柔らかい感じで好まれ、現在本領と評価されています。登窯が導入された後では釉膚が滑らかに融けてしまい火色も出ないようになりました。白磁にはこっちの方が見た目近いわけですが、味わいは薄い。志野織部と区別される方もいて食器はだいたいこの手です。

 

No241

本歌も志野織部です。

 

似せもん

口径17cm 高さ4.5cm 久保忠廣

8,000円(税込)2013年個展

炎色野(渋谷→京王井の頭線西永福 HPあり)

本作品には縁などの釉切れ部分にちょいと火色が見られます。折り返した口の四方を摘まんで撫四方にしています。底は平で三方に脚。志野によくみるタイプですが、これに2種あり、一段深い円形の見込が小さいのと広いのとです。本歌は後者で、実際盛り付けるにはこのほうが、用途が広いと思われます。見込の釉下の鉄絵の配置にも2様あり、摘まんだ隅の一つを下に菱型の画面とするものと素直に一辺を下に方形画面にするもので本歌は前者、本作品は後者。見込に芒と2種の梅花、縁に点斑文など。