この仕事の面接を受けたのは、今日からちょうど一年前。この仕事を実際にやり始めたのは面接してから一週間後だが、俺は今日という日に特別な感情が湧き上がるのを感じた。
最近、軽犯罪者をの最犯罪を減らそうという取り組みが全国各地で始まった。それは、軽犯罪者に対して拘束し、くすぐることで再発を防ぐというものだ。今までの法律の罰金刑や懲役刑に加えて、くすぐりの刑に処することで、最犯罪は防げるのかは長期的に見ないと分からないという意見を参考に、五年間試験的に導入されることになった。そして、その法律は、去年の今日から施行されている。
俺は目の前にあるディスプレイを見て、五分後に十七歳の少女が到着することを確認する。机の上のマグカップに入ったコーヒーを一気に飲み干し、俺は実験室に向かう。
水着姿の少女は二人の男に連れられて実験室に入ってきた。この部屋は、広さは十畳くらいで、壁は防音加工がされている。俺が少女に部屋の真ん中にあるベットに腰掛けるよう指示すると、無言でそれに従った。やはり不安を感じるのだろう。この部屋に入ってから、俺と目をあわせようとしない。少女が座ったベッドは、家庭用のキングサイズベッドよりもひと回り大きい。そのベッドの四隅には、手や足を縛るための革で出来たベルトがある。
俺は少女に寝て万歳するよう指示すると、素直に従った。そして少女を連れてきた男二人は、少女の手足をベルトで締め、抜けないのを確認したあと、俺に会釈をし、部屋を出て行った。俺は防音加工されている扉をを閉める。少女を見ると、今にも泣きそうな顔をして俺を見ていた。改めて見ると少女は黒髪のショートで、肌は白く、端正な顔立ちをしていたことが分かった。
「これから、実験を始めます。既にご存知かと思いますが、時間は六時間以上十二時間以内。休憩時間は、一時間あたり十分以内です。休憩時間の十分間に拘束は解除しますので、その時間内にトイレに行くことも可能です。十分を過ぎた場合は超過した時間分が実験時間に加算されます。何か質問はありますか」
少女は蚊の鳴くような声で、「いいえ」と言った。
「わかりました。それでは始めます」
俺はそう言うと、少女のきれいな脇の下に手を伸ばし、くすぐりを始めた。
「うふふ、ふふふ」
少女は拘束されてほとんど動かない躰をクネクネと動かし始めた。軽く触れているだけで少女は敏感に反応した。
「うふふふふふふふあああ!ああああはははははははははは」
指の動きを激しくしただけで、大口あけて大声を出して笑っている。むろん、これが仕事なのだから笑ってもらわなければ困る。
「あははははははははは!あっはっはっはっはっはっはっはっは」
脇腹を人差し指でツンツンと突くとそれに合わせて少女は笑う。初めからこんなに爆笑して、あと最低六時間のお仕置きに耐えられるのだろうか。
「あっはっはっはっはっはっはっはっは!あはははははははははははははは」
脇の下と脇腹を交互にくすぐっていると、少女はくすぐったさを少しでも軽減しようと、のけ反ったり左右に揺れたりするが、その度に俺の指は付いていくので、精神的には追い詰められる一方だった。
「あははははははは!お、おねがい!ストップ!」
彼女がストップというと同時に俺は手を止めた。一時間に一回だけ、被験者は一時的に止めてもらうことができる。このくすぐっていない時間はいわずもがな、実験時間には含まれない。
「はぁ、はぁ、はぁ」
少女は息を整えようとしている。顔をトマトのように真っ赤にしている様子は、なんとも艶かしい。
「そろそろ始めます」
「もうちょっと待って!」
そのお願いを無視し、脇腹をもみほぐし始めた。
「うぁああああああああはっはっはっはっはっはっはっはっはっは」
くすぐられる準備をしないままくすぐられて、物凄い勢いで躰をそらしている。
「わっはっはっはっはっはっは!あっはははははははははははははは」
敏感な脇の下をくすぐられてのたうち回っている。俺はこの仕事を一年近くやってきて、少女のように反応してくれるのが大きなやりがいである。
「あはははははははははははは!きゃあああああははははははははは」
俺は足元に移動し、拘束されて動けない綺麗な足の裏を容赦なく引っ掻く。
「わああああはははははははははははははは!ああははははははははははははははは」
少女の足の裏は、縮んだり開いたりを繰り返しくすぐりから逃れようとしたが、これも無意味だった。
「あはははははははははははははははは!わっはっははははははははははははは!あははははははははははは」
彼女の喜ぶ土踏まずとそのすぐ下辺りを、下から上に引っ掻いたり、踵と土踏まずの間を爪を立てて往復したり、少女がくすぐりになれないようにくすぐった。
「あははははははははは!もうやめええっ!あはははははははははははは」
「まだあと何時間も残っていますよ」
「やめてええええ!おねがいぃぃぃぃ!わっはははははははははははははははは」
足の裏は、長い時間くすぐっていると、段々敏感になっていくのが顕著に現れる部位だ。そのせいか、少女の跳ねる勢いは衰えない。
「ああああああははははははははははは!わあああああああああああああやめえええええあははははははははは」
少女の足の裏の指を掴み、足を反らした状態でカリカリとくすぐる。
「ぎゃあああああはははははははああははははははははは!だああははははははははははは」
俺はだんだんと楽しくなっていくのを感じていた。
「あはははははははははははははは!あはははははははははははははは!やめてええええああはははははははははははは」
足の裏を一旦中断し、脇の下を再度くすぐった。
「きゃあああああ!あはははははははははあはははははは」
脇の下を閉じようと必死にもがいている。閉じることはもちろんできず、綺麗な脇の下を晒し続けている。
「んああああああああははははははははははははははははは!あはははははははははははははははは」
「お腹もくすぐってあげますね」
「はっはっはっはっは!やめてええええええ!あははははははあ、あとなんぷんんんんあああはははははははははは」
右手の腕時計を見て言った。
「あと最低五時間四十分です」
「もううう!やめてええええええええ!おねがいいいいいいいいいい!あははははははははははははは」
その言葉を無視して、足の裏に移動し、ポケットの中からブラシを取り出して、少女の足の裏をこすり始めた。
「あぐあああああああああああ!ぎゃあああああああああああああ!わああああああああああああはははははははは」
膝や手を曲げようとするが、拘束されていて曲げられない動作を見て、俺は快感を覚え始めていた。可愛い娘の時は、特に強く感じる。
「わあああははははははははははははは!はははははははははははははははは!わっはっはっはああははははっはははははははは」
ブラシでこする強さを変えながらくすぐってみる。
「ああっはっはっはっはっはっはっは!わはははははははははははは!きゃあああははははははははははははははは」
足の指の間を指でくすぐる。
「んきゃあああああああああああああ!あああああはははははははははははっはっはっは!ごめんなさいいいいいいいいい」
足の指の付け根を引っ掻く。
「あぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃ!ぎゃあああああああああ!あはははははははははははははははははははああああああ」
もういいだろう、と言って立ち上がって部屋の壁にある機械のスイッチを操作する。すると、ベッド内臓のマジックハンドが少女の躰のすぐそばからシーツを破って這い上がってきた。少女は、やめてくださいごめんなさいと涙目で繰り返している。俺はスイッチを操作すると、マジックハンドが少女の躰をくすぐり始めた。
「わああああああああああ!やめええええええええええええ!ああああああああああああああ」
マジックハンドは、くすぐりになれないように場所を変えてくすぐっている。それが、何十本も同時に少女の躰をくすぐるのだから、少女は涙をながしてる暇もなく大笑いしている。
「ぎゃあああああ!あっはっはっはっっはっはっは!あっはっはっはっはあああああああはははははははははははは」
俺はマジックハンドが正常に稼働していることを確認して、部屋の出口に向かう。
「ちょっとおお!とめてえええええええええ!まってええええええ!あははははははははははははははは!ちょ、あはははははははははははは」
「とめてくださあああああああああああ!あははははははははははあああああ!とめてええええええええええええええ」
「あと四十分くらいしたらまた来ますね」
「まってええええええええええ!あはははははははははははははははは!わははははははははははははははは」
少女の大きな笑い声を聞きながら、俺は部屋を出た。