目指す姿 - 9 | チイサナシアワセガイイ

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テーマは“ありのまま”

“何しにきたの?”



恐らく、

また実家に電話をして

この病院を聞いたのだろう。


“心配で、仕事が終わってから急いで来たんだ。”


この言葉にはもう何も感じなかった。


まるっきりウソではないとは思う。

でも、空っぽな言葉。

 



“顔も見たくないから帰って。”

 



病室は6人部屋。

健太が病室を出て行くとき大きな声で、

 


“みなさん、よろしくお願いします。”

 


と、頭を下げて帰っていった。




正直、わからなかった。
どういうつもりなのか。





翌日学校に欠席の電話を入れたら、
健太から電話をもらったって。


本当にわからないことばかり。
どうしてそんなことができるのだろう?




かおちゃんがお昼前に病院に着いた。

顔を見てホッとした。
もう大丈夫だって。

点滴も最後になり、

ようやくお粥から食べてもいいとのこと。


あとは帰ってもいいかなと思ったので、
お昼で退院することにした。

 


結局、

また原因はわからず、


以前と同じで、

急性胃腸炎とのことだった。


カニを食べた後の症状。

それも二回目。


言うまでもなく、


このときから、

カニを食べられなくなった。




さて。


たった二日の入院でこんなに疲れるのか

と思うくらいしんどかったように思う。


姉が来てくれなかったら、
アパートに戻っても、

きっと何も出来ずに、

ただ横たわったままだったろう。

体の辛さより、
気持ちの重さが、

とんでもなく大きかった。

 


それでも、

姉にも本当のことを話さなかった。


話せなかった。



二日間学校を休み、
かおちゃんも仕事もあるため

実家に帰って行った。




12月は忙しい。
仕事も勉強も何もかも。
あと2週間で冬休みにもなってしまうし。

それだけを考えていられたら、

どんなにか楽だったろう。

 


やらなければいけないことがたくさん。


その中で

一番先に済ませようと選んだこと。


健太への

編みかけのマフラーの完成だった。