💕いのやま88
妄想小説・闇愛-yamilove-
第88話【準備開始】
★山田side★

「なぁ‥‥‥‥‥‥久しぶりに会わない?‥‥‥‥‥‥二人きりでさ」


中島「本当かい?!僕も今それを言おうと思っていたところなんだ!涼介と間近で会って話したいなってずっと思ってたんだよ!それに長い間話もしていなかったから、久しぶりにゆっくり話したいよね!そしてまた一から少しずつ信頼関係を取り戻していけたらいいなと思うんだ!!」

中島裕翔は、ひどく喜んだ声で言った。

中島「じゃあ、いつがいい?日時も場所も、涼介の希望に合わせるよ!」
山田「そうだな。‥‥‥ちょっと今は忙しいけど‥‥‥あさって土曜日の夜とかどうだ?」
中島「うん!いいよ!」
山田「もしかしたら、急きょ変更になるかもしれないけど、でも会う約束は変えないから」
中島「うん!よかった!じゃあ土曜日だね!楽しみだなぁ~。場所は?どうする?」
山田「絶対に誰も来ない場所。どこか無い?」
中島「人目につかない場所ってこと?」
山田「うん。‥‥‥二人きりのほうがいいから」
中島「そうだね!お店だと人が居るから二人きりになれないもんね!また探しておくよ!」
山田「‥‥‥じゃあ、あさっての土曜日。時間はまた電話する」
中島「やった!!涼介からの電話、待ってるよ!!」


ガチャンと公衆電話を切り、大きく深いタメ息をつく。




――『その黒いオーラは、他のどんな色よりも強くて、その人そのものをさえ変えてしまう恐ろしい色なんです!黒いオーラに全部染められてしまう前に、除き去るべきです!除き去る方法は、自分の憎しみを抑えることしかありません!』――


さすが有岡さん。よく言ってくれたもんだ。
でも、ごめん。
俺、黒いオーラに負けちゃった。全部染められちゃったよ。



「‥‥‥よし‥‥‥」

アイツと会うまでに、準備をしないと‥‥‥。


――――――


山田「八乙女さん。お昼いっしょにいいですか」
八乙女「おお。なんか今日伊野尾さん休みなんだって?早く良くなるといいな」
知念「ねー」

次の日の昼休み、食堂で八乙女さんと知念に話しかける。そのまま二人が居るテーブルの席に座った。


隣のテーブルに、有岡さんと髙木さんも居た。

山田「八乙女さん、薮さんから聞いたんだけど、昔、ココの会社に不審者が出たとき防犯カメラから犯人をつきとめたって、本当ですか」
八乙女「お!そうそう!それ俺が平成会社に残した唯一の武勇伝なんだよ。なんか表彰されたんだよなー。企画課の薮さんがそれ言ったのか。よく覚えてくれて」
知念「えっっ?光くんの武勇伝?でも僕知らないよ?」
八乙女「知念が入社する前で、かなり昔の話なんだよ。俺が入社して間が無い頃だったわ」

山田「その防犯カメラが意外な位置にあるカメラだと聞いたんだけど‥‥」
知念「ねぇ光くん、もっとその話詳しく聞かせてよ!光くんの武勇伝、僕もっと聞きたいな♡」
山田「うんうん」

八乙女「‥‥ったく~。知念の願いとあらば、言わなきゃしゃあねぇな。俺、デザイン研究してっから角度とかそういうの勉強してて、んでな、んでな、ちゃんと聞いとけよ。平成会社っていたるところに防犯カメラがついてるだろ?だからきちんと仕事してるように見せなきゃダメじゃんか。それで俺入社したとき、自分が通る道やらのすべてのカメラの位置を把握して、向きとか角度とか、地味に研究しまくったんだ」

知念「へぇ~♡さっすが光くん!僕なんて、防犯カメラがあるぞって言われるまでカメラがあることにすら気づかなかったもん!」
八乙女「ただな、防犯カメラでも2種類あるだろ?!最新式の、黒いドーム型になってるカメラに切り替わってきてるだろ。今までのは「モロにカメラついてます」ってカンジのモロカメラだったから、レンズがどの方向のどの角度向いてるかが分かってたけど、あのドーム型のはよく目を凝らして見ないと、どこ向いてるか分かんねーんだよなー」


たしかに、平成会社の防犯カメラは2種類あって、カメラの形のものと黒いドーム型のカメラとある。黒いドーム型のカメラは、受付とか人が多く出入りする場所に主につけられている。
たぶん、最新式というからには黒いドーム型カメラのほうが、いろいろ機能的にいいんだろう。
八乙女さんが、何やらカメラの向きを見極めるのに苦労した話をベラベラ話してくれてるんだけど、俺が聞きたいのはそういう話じゃないんだけど‥‥。
それにこのあいだ監視ルームに行って分かったことだけど、防犯カメラってちゃんと見張ってるワケじゃないから、きちんと仕事をしているように見せる必要も無いんだけどな~‥‥。



八乙女「んでな、当時、会社の受付係に居た女の子の元カレが、勝手に平成会社に忍び込んだんだよ。俺らって社員証かざして会社に入るけどさ、何もせずに入ってきた人が居るって騒ぎになってな。上の人らが『社員証を見せろ』って一人一人に聞いて騒いで。防犯カメラの映像をまわすように言ってたんだけど、朝の混雑してる時間帯だったから、どのカメラ見ても顔がちょうど隠れてたんだよ。けどな、受付から入ってすぐの廊下は、じつは全然違う場所にあるカメラから映るってことを、俺だけが分かってたワケ」

山田「‥‥‥(元カレか‥‥)‥‥‥なんで分かったんですか?その場所が見えるって。研究してたにしても、カメラ映像を確認しないと分からないじゃないですか」


八乙女「あぁ。俺、黙って監視ルームに入ったんだ」


山田・知念「え――――!」
山田「ちょっと八乙女さん、サラッと言ってますけど、それ悪いことじゃん!」
八乙女「そうなんだけどよ、俺の研究が正しいのか確かめたかったんだ。それでその頃は監視ルームに鍵もなんも無かったから、仕事終わりに黙って入った☆」
山田「そんなてへぺろして言われ‥‥」(言いかけ)
知念「さっすが光くん♡♡その行動力ホント大好き♡」

知念が、八乙女さんに顔を近づけて満面の笑みで笑った。少し八乙女さんはハハと笑った。


八乙女「だけど、監視ルームに入って分かったけどよ。俺が防犯カメラの位置やら向きやら研究しても、無駄だったんだなって」
知念「どうして?」
八乙女「監視ルーム、誰も居なかったしホコリまみれだったし、ただ録画してあるだけだったから。仕事してるように見せかけようとして研究したけど意味無かったって」

知念「そんなことないじゃん!」
八乙女「え?」

知念「僕、光くんがカメラの位置を教えてくれたから張り切って仕事できたし、それに全部のカメラの位置と向きを知ってるなんて、光くんスゴイなって思うよ!それに、不審者だって光くんのおかげで分かったんでしょ?!全然無意味なんかじゃないよ」


知念がめずらしく少し大きい声で言う。
八乙女さんの顔を見ると、少し照れたのを隠すように笑った。

八乙女「コイツ~。またかわいいことぬかしやがって//」
知念「うふふっ♡光くんにもっと僕を好きになってもらいたくて、つい言っちゃった♡」




山田「‥‥‥‥‥‥‥‥‥」


‥‥‥って俺の出る幕無ぇよ!!


あぁ~。八乙女さんと知念がキャッキャうふふなことをしてるの見たら、いのちゃんに会いたくてうずうずする。


山田「や、八乙女さん、まだ聞きたいことがあって‥‥‥」
八乙女「\|/あぁ、すまんすまん。山田の存在をすっかり忘れてイチャコラしてたな。すまんすまん。で、聞きたいことってなんだ?」



山田「いのちゃんが落ちた階段が見えるカメラって、2台しかありませんか?」




第89話へつづく