💕いのやま67
妄想小説・闇愛-yamilove-
第67話【闇か愛どちらが強いか】
♠︎伊野尾side♠︎

俺たちはその後解散し、自分の家に帰った。
俺は、ずっと頭の中を整理していた。
何かが、何かが違って、変わって、狂ってきている。少し前の山田と違ってきている。

山田は、今黒いオーラに飲み込まれようとしているのか‥‥‥?


解散するとき、山田と髙木さんが、何か他愛もない会話をしていたとき、有岡さんが俺にこう言ったのだ――。



解散前のこと――
髙木「んーそだなー。べつに下の名前で呼ぶのに時間はかからなかったかな。つきあいだしてすぐだったよ」
山田「そうなのか!へぇー‥‥」


有岡「‥‥‥ちょちょちょ、伊野尾さん、ちょっと(こっちに来てくださいと手を小さくふる)」
伊野尾「何?なんだ?」



有岡「山田さんには言ってませんけど‥‥‥あの黒さは尋常じゃないですよ!山田さんは今、とても危険な状態に居ます。‥‥‥本人にしかあの黒いオーラは取り除けない的なこと言いましたけど、俺は思うんです。もしかしたら、伊野尾さん、あなたなら山田さんのことを本当の意味で救い出せるかもしれない!」

伊野尾「‥‥‥そんなの、どうやって‥‥‥」






有岡「愛すんです」







伊野尾「えっ?」

有岡「山田さんが中島さんのことを忘れられるぐらい、伊野尾さんが山田さんを愛せばいい!山田さんにめいっぱい愛情をそそいであげるんです!あくまで俺の考えですけど‥‥‥‥‥‥でも、愛で闇のオーラを覆うという方法が一番いいかと」
伊野尾「そんなww夢見る子供じゃないんだから」
有岡「そうでしょうか?」


有岡「憎しみに対抗出来る感情は、愛しかないと思いますよ?‥‥たしかにこんな言葉、クサイというか、はしかゆくて照れくさいかもしれないですけど‥‥でも山田さん、あの黒い闇のオーラに飲み込まれなければいいですけど‥‥‥」
伊野尾「‥‥‥‥‥愛で闇のオーラを覆う‥‥‥‥‥」

山田のほうを見ると、山田は髙木さんと話していて、前みたいに歯を見せて大笑いするというよりは、どことなく暗い。

‥‥‥‥‥‥山田‥‥‥‥‥‥。



伊野尾「‥‥‥‥有岡さん、それ、いい考えだと思う。悪かったな。さっきは夢見る子供って言って」
有岡「え、いい考えですか?!そう言ってもらえるならよかったです!」


伊野尾「あぁ。俺は、山田が見てきた光景や、感じた気持ちを正確に理解することは出来ないし、山田の過去も変えられないし、どうやって中島さんから守れるのか、それも分からない。‥‥‥でも、山田に愛を示すことは出来る。いや、それしか俺には出来ることがない。ありがとう有岡さん。いいことに気づかせてくれて」


有岡「あ‥‥‥はい!!闇のオーラ含め中島さんと、愛情‥‥‥‥‥闇か愛、どちらが強いか見ものですね!!」


――――――


「もしもし?いのちゃん?」

そのことを思い出した後、俺は山田に電話をかけた。

伊野尾「いや‥‥山田の声が聞きたくなって」
山田「フフ。マジで?ありがとう。俺もいのちゃんどうしてるのかなって考えてたとこ」
伊野尾「山田‥‥‥あのさ、今度の金曜日、俺んちに泊まりに来ないか?‥‥‥これからのこと、もっとちゃんと話し合ったほうがいいと思うんだ」
山田「これからのことって‥‥‥?」

伊野尾「俺たちがいっしょに暮らすこととか、アイツのこととか。山田、何事も楽しめないって言ってたけど、きちんと忘れられるようにしていけたらいいなと思ったし、俺の計画としては、遠くに引っ越すってのも考えたんだ。そのことについても話せたらと思って」


山田「いのちゃん、あり――――‥‥‥んっ」


電話の向こうで、急に山田が言葉につかえて、黙った。
頭痛だろうか‥‥‥?!

伊野尾「山田?どうした?大丈夫か?」



山田「――――‥‥‥‥なんでもない‥‥‥ありがとう。アイツのことに関しては、もし俺たちに何かするようなら、俺も何かしてやろうとは考えてる。‥‥‥じゃあ金曜日、泊まりに行くな。‥‥‥いのちゃんとイチャつけたらいいな♡」
伊野尾「?!‥‥‥イ、イチャつくっ?!‥‥‥照れるわボケ//‥‥‥じゃあ、おやす‥‥‥」



有岡さんの言葉を思い出す。
――『有岡「山田さんが中島さんのことを忘れられるぐらい、伊野尾さんが山田さんを愛せばいい!山田さんにめいっぱい愛情をそそいであげるんです!』――



伊野尾「っと‥‥‥山田、その‥‥‥」
山田「ん?」
伊野尾「愛し‥‥‥愛‥‥あ‥‥‥」


『愛してるぞ♡山田♡』って言いたいのに!脳内では言えるのに!!
言えんし照れるわボケッ!!



伊野尾「明日会うの楽しみにしてるからなボケッ!!////」

プチッ‥‥‥ツー‥‥ツー‥‥

‥‥‥‥‥言えんかったぞボケ‥‥‥。今度はちゃんと言えたらいいのだが‥‥‥。


――――――


ツー‥‥ツー‥‥

山田「フフ‥‥‥いのちゃん『明日会うの楽しみにしてる』って照れて勝手に切るなよなww」


通話終了のボタンを押した後、山田は着信履歴を見る。


先ほど山田が言葉につかえた原因はコレで、履歴にはあの登録していない番号からの着信がズラリと並んでいる。
伊野尾との電話の途中、また着信があり、キャッチが入っていたのだった。
そして山田は、その電話の主が誰だか分かっている。


山田「仕掛けてきてるな‥‥‥‥‥」
山田は有岡の言葉を思い出した。


――有岡『その黒いオーラに飲み込まれないように気をつけてください!』――


鏡に映る自分を見て、キッと目をキツくする。




山田「‥‥‥‥‥‥そんなの、もう飲み込まれてるよ」


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第68話へつづく