💕いのやま65
妄想小説・闇愛-yamilove-
第65話【仲間と相談】
♠︎伊野尾side♠︎

バタバタバタ‥‥‥(廊下を走る足音)

知念「ひひひ光くん光くん!!」
八乙女「なんだぁ?」
知念「あのね、さっき中島さんがね『涼介!』って言って怒った顔して、ゴミ箱を蹴飛ばしていったんだ!中島さんって怒るとあんな人になるの?怖いよ僕~!」
八乙女「『涼介』?その場に山田も居たってくことか?」
知念「ううん。中島さんの一人言だよ。もう鬼みたいな顔だったんだよ!」

八乙女「‥‥‥(一人言で『涼介』?‥‥山田と知り合いってことか‥‥‥?)」
知念「光くん?」



八乙女「‥‥‥‥‥‥なんか‥‥‥‥‥繋がったんだけど。今までの変なことを繋げてみたら、なんか繋がったぞ」
知念「えっ?繋がったって何が?」


八乙女「最初は、伊野尾さんの辛気臭ぇ顔から始まって、少し前、伊野尾さんが俺らに何か相談しようとしただろ?そのことは中島さんのことで、でも伊野尾さんは『今言っても信じてもらえない』って言って、相談するのをやめたことあるだろ?」
知念「うん!あったね!言ってくれたらいいのにって思ったから覚えてる」

八乙女「そのあとは、山田が俺たちに『二人を邪魔するヤツが逃げても逃げてもついてくるならどうする?』みてーなことを聞いてきただろ。そのあと有岡さんが言っただろ。山田から黒いオーラが出てて、それは人に対する憎しみを現わす色だって。‥‥‥つまりはこのことをまとめると、俺の推理はこうだ」



八乙女「山田と中島さんは、過去につきあったか何かだ。ところが別れて、ところが中島さんはまだ山田のことが好きなんだ。それで山田が居る平成会社によく来るようになって、山田は『逃げても逃げても中島がついてくる』って思って、伊野尾さんといっしょにどうしようって悩んで、俺らに相談したいんだが、俺らに言っても、山田と中島さんがつきあってたワケがないと思うと思って『今言っても信じてもらえない』と伊野尾さんは言ったんだ」

八乙女「それでも、中島さんは毎日のように山田に会いに来るから、山田は中島さんに対する憎しみを募らせて、黒いオーラになったんだ。そして中島さんは、その伊野尾さんと山田のラブラブっぷりを見て、さっき怒ってゴミ箱を蹴飛ばしたんだ。‥‥‥どうだっ?この俺の推理。100%当たってるよな!?」
知念「うわぁ~!!光くんスッゴーイ!!絶対にそうだよ~!!僕じゃそこまで思いつかなかったよ~!光くん、推理小説の作家か名探偵になれるよ!!」
八乙女「だろ?!俺も自分スゲーと思ったんだ。んで、山田たちが困ってるなら、俺たちもなんとか助けてやりてぇよな。俺たちに相談できなかったみたいだしな。ココはちょっくら手ぇ貸してやっか」
知念「うんっ!!光くんってあったまいい~♡」


――――――


次の日昼休み――
山田「‥‥‥ハァ‥‥今日は雨か。頭ガンガンする」
伊野尾「今日は食堂で食べるしか無いな」

俺と山田が廊下に出ると、八乙女さんと知念が立っていた。

山田「アレ?二人とも‥‥。どうした?」
八乙女「うむ。ちょっとおまえらの手助けをしてやろうと思ってな。まぁ食べながら話すぞ」
知念「皆でごはん食べれるの楽しいよねー♪」
伊野尾「‥‥‥‥‥(なんか仲間ってカンジしていいなコレ)」




八乙女「んで。おまえらが悩んでいることは、よーく分かっている。だから遠慮せずに俺らに頼れ」
伊野尾「‥‥?」
山田「ん?」

八乙女「おまえらが逃げても逃げてもついてくるのは、中島さんだということは分かっている」

顔を見合わす山田と俺。


山田「‥‥いのちゃん言ったの?」
伊野尾「言ってない言ってない」
山田「え、八乙女さん、どうしてそれを?」
八乙女「俺はな、頭がいいから、今までの出来事をもとに推測した結果、分かったんだ。どうだっ?!やっぱそうなんだな!?ホレ見ろ知念。俺って頭いいだろ」
知念「うんっ!ホレ直しそう!」


‥‥‥八乙女さんたちに相談しようとは思ったけど、相談してないし誰にも言ってないのに、どうしてこのことを知ってるんだ?!
八乙女さんはどこまで知っているんだ。

俺と山田は、ひきつった顔をして顔を見合わせた後、2人して下を向いて黙った。


八乙女「なんだ?スゲーイヤな空気だけど。‥‥‥おまえらが気にすることはない。こんなことめずらしいことじゃねぇ。別れた相手が執拗についてくるなんてこと」


山田「えっ?」
伊野尾「え‥‥」

山田「あの‥‥‥八乙女さん、別れた相手がついてくる‥‥って‥‥?」
八乙女「え?俺の推測では、山田と中島さんがつきあってたけど別れて、それでも中島さんがまだおまえを好きで、ついてくる‥‥‥それで悩んでるんじゃねぇの?」

山田「‥‥‥八乙女さんは真実は知らないと?」
八乙女「真実っつーか‥‥‥おまえらの言動をもとに俺が勝手に推測しただけだけど」

山田「‥‥それならいいんです。てっきり誰かから何か聞いたのかと」
伊野尾「うん」

山田「八乙女さん、俺とその人‥‥‥中島さんはつきあってませんから。過去にも。ただの知り合いでした」
八乙女「あ、そうなの?」
知念「‥‥光くん、ちょっと予想外れちゃったね~」



それから山田は、あっさりと、自分と中島は過去に同じラーメン屋で勤めていたことと、中島が自分に好意を寄せるストーカーであったことを話した。
だけど、雨の日のあの出来事については話さなかった。


八乙女「へぇ‥‥‥‥‥‥中島さんが、ノーマルではなかったとは驚いた」
知念「そうなんだ‥‥。同類ってカンジで親近感がわく思いもあるけど、僕は伊野尾くんと山田を応援してるからなぁ〜。でも中島さんが今でも山田を好きなのは困るよね」

山田「‥‥‥‥‥‥」


伊野尾「ちょっと言いたいんだけど」

山田と八乙女さんと知念がいっせいに顔を上げて俺を見た。




伊野尾「中島さんは、いい人そうに見えるけど、違う。それを信じてほしいんだ」




八乙女さんたちが少しビックリしたような顔になる。

八乙女「あー‥‥‥。俺さ、たぶんそれを、前に聞いてたら信じられなかったと思うけど、中島さんってなんか怖い一面があるんだなって知ったら、今はちょっと信じられる。どれぐらい悪い人なのかは知らんけど。だってこないだも、岡本部長といっしょに、連絡先がある部屋に入ってったし」


山田「‥‥‥え‥‥‥?それ、いつ」
八乙女「おととい」

山田「‥‥‥おとといの夜から、知らない電話番号からかかってくるの‥‥‥やっぱそうだ」
伊野尾「アイツか」
山田「うん。なんとなくイヤな予感はしてたけど」


八乙女「え、どういうことだ?中島さんが、岡本部長から山田のケー番を聞きだしたってことか?‥‥‥マジか?んなアホな」
山田「いや、俺もう分かってるんです。あの人の考えることや行動パターンが。そういう人なんです」
八乙女「‥‥マジかよ。それマジなら重度のストーカーじゃねぇか」


――――――


者無譜製薬にて――
薄暗い実験室で、怪しい煙が立ち上がる。

「‥‥‥フフフッ‥‥‥フフフフッ‥‥‥」

白い白衣を着た中島の目の前には、泡がふきだした液体がある。



中島「やっと‥‥‥完成した!‥‥‥‥‥涼介‥‥‥待っててね‥‥‥‥‥‥」





第66話へつづく