💕いのやま61
妄想小説・闇愛-yamilove-
第61話【動きだした歯車】
★山田side★
俺といのちゃんは、仲良くいのちゃんの家に帰る。
俺はしばらく、いのちゃんの家に住むことになったというカンジだ。
いのちゃんは、俺の安全を考えて自分の家に泊まるように言ってくれて、コレで安心しているようだった。
だけど、アイツはそんな簡単なヤツじゃない。
俺は安心出来ないでいるし、いのちゃんにまで被害が及びかねない。
‥‥‥だけど、どうすればいいか、それもまた分からない。
「‥‥‥‥‥‥」
「‥‥まだ‥‥山田‥‥‥」
ふと、いのちゃんの声がしてハッとした。
山田「悪ぃ、ちょっと考えごとしてた。どうした?」
伊野尾「明日祝日で休みだから、今からどっか食べに行かないかと思って‥‥。でも山田頭痛いのか?ならやめとくけど」
山田「行く行く!いのちゃんと外食かぁ!どこ行く?」
伊野尾「えっと‥‥‥なんかうどんが食べたいから、うどんの店に行こうかと考えてたんだけど、どうだ?」
山田「美味しそう~。どこのうどん屋?どんなのがあるっけ?」
伊野尾「どんぶりと一緒になった定食とか、カレーうどんとか、天ぷらつきの定食とかあるぞ。俺は今猛烈にすっぱいものが食べたい気分だから、梅干しとワカメが入ったうどんの定食にしようと思ってる」
山田「どれも美味そうだな~。どんぶりと一緒になった定食か、カレーうどんどっちにしよう」
伊野尾「行ってから決めればいいんじゃないか?」
――――――
俺はカレーうどんにして、いのちゃんと向き合って食べる。
会社であったこととかいろいろ話しながら食べて、平和な時間を過ごしていた。
山田「――――――‥‥‥‥」
伊野尾「山田?どうした?急に黙って」
ふと、ピーンときたっていうか、何か感じて、周りを見回す。
なんだろう‥‥‥。なんかイヤな、あのカンジ‥‥‥。
ゾワゾワとイヤな気配っていうか、視線のようなものを感じた。
アイツは見当たらない。気のせいか‥‥‥?
アイツが見ているんじゃないかと思うとゾッとするけど、そう思ってしまう。
‥‥‥アイツもこの近くに住んでいるんだよな‥‥‥。
伊野尾「‥‥‥のびるぞ」
山田「えっ」
伊野尾「うどん。のびちゃうぞ」
いのちゃんが、うどんをつかんだ箸を持ったまま俺のカレーうどんをヒョイと指す。
そのいのちゃんを見て、少し安心した。
伊野尾「‥‥‥考えすぎるのもよくないぞ」
山田「う、うん‥‥。なんか見てるんじゃないかって思って‥‥。気のせいなのかな」
伊野尾「もし気のせいじゃなくても、俺がそばに居る。何も考えずに食ってろ」
山田「うん」
伊野尾「何か起こるんじゃないかって心配してても、実際にはその心配事は起こらなかったっていうほうが多いもんだ」
山田「‥‥‥うん」
いのちゃん‥‥‥。
ごめんな。俺、安心出来ないんだ。
何かあってからじゃ遅いんだよ。
もし、いのちゃんに何かあったら‥‥‥とか、そこまで考えてんだ。
俺、いのちゃんとの、この生活を守りたい。
もう不安なんて無くしたい。
不安も心配もアイツのこともなにもかも捨てて、いのちゃんと心から笑って生きたい。
伊野尾「‥‥‥ズズッ‥‥んん、美味い美味い」
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥。
俺は決着をつけるべきだよな。
自分なんてどうなったっていい、そう思っている。
だから出来る。
いのちゃんとの未来を守るために。
――――――
キーンコーンカーン
いのちゃんとこないだ外食で食べたうどん、コシがあって美味かったなと考えていると、もう昼休みに入った。
山田「いのちゃん、今日は二人だけのあの場所で食べようぜ。先に行っててよ。俺パン買ってあげるから。何がいい?」
伊野尾「あぁ。最近ずっと食堂で食べてたよな。じゃあえっと‥‥‥焼きそばパン2個とメロンパンと砂糖が乗った、棒みたいなパン。あ、それのマカダミアバージョンのほう」
山田「オッケー。じゃあ早く行ってくる」
へぇ‥‥今日のいのちゃんは甘いものが食べたい気分なのか。
砂糖が乗った、棒の形をしたパンがあって、本当の名称は『シュガーデニッシュバーパン』というんだけど、長ったらしいからと皆『棒みたいなパン』と呼んでいる。
それは、ただの砂糖がけバージョンと、20円高いマカダミアナッツ入りバージョンと2種類あって、いのちゃんのセレクトはマカダミアバージョンだった。
俺が、いのちゃんを外に行かせたのにはワケがある。
いのちゃんが居ないときに、ある人たちに聞きたいことがあるからだ。
俺はひとまず、パンだけは確保しようと、群がる人の中に飛び入ってパンをつかみ(パンは1個ずつ個包装されている)いのちゃんの分と俺の分とを買った。
テーブルのところを見ると、質問したい人たちが居た。
山田「よっす」
知念「あっ、山田!アレ、伊野尾くんは?(キョロキョロ)」
山田「いのちゃんとは、今日は二人っきりで食べるんだ」
八乙女「なら早く行ってやれ」
山田「ちょっと知念と八乙女さんに聞きたいことがありまして」
知念「‥‥あっ、山田棒みたいなパン買ったの?それ美味しいよね!どっちのほう買ったの?」
八乙女「そりゃ棒みたいなパンといったらマカダミアだろ!‥‥だろ?!」
山田「そうです。どっちもマカダミアだよ。‥‥‥って、話それましたけど聞きたいことがありまして」
知念「ん?なになに?」
山田「知念と八乙女さんって、もうラブラブじゃないですか」
知念「ふふっ♡だって♡」
八乙女「まぁな?」
山田「でも、二人のことを邪魔するヤツが現れたら、どうする?」
知念「えー。そうだな~」
八乙女「んなもん上手くかわしてやるよ。シュッシュッって」
山田「かわすってどうやって?かわせなかったら?」
知念「‥‥‥愛の逃避行しちゃおっかな♡」
山田「まじめに答えてほしいんだ」
知念「‥‥‥‥‥‥え、どうしたの?ライバル登場とか?💦」
山田「俺いのちゃんのとこに戻らなきゃいけないから、早く答えが知りたいんだ。どうする?」
山田「もし、二人を邪魔するヤツが、いつになってもどこに行ってもついてきたら。逃げても逃げてもついてくるなら」
八乙女「真剣に考えると難しいな。今すぐ答えを出さなきゃならんってのが‥‥」
山田「邪魔なヤツなんか居なくなればいいのにって思いませんか?」
第62話へつづく