💕いのやま52
妄想小説・闇愛-yamilove-
第52話【山田の過去4】
★山田side★

「涼介、おはよう」
「おはよう」

裕翔はあの告白以降も、今までと変わらずに笑って接してくれる。
だけど俺は、裕翔みたいに、今までと同じように接することが出来ないでいた。

俺はたしかに、同性愛に偏見は無い。一人一人の自由だって思う。

だけど、俺は女扱いがとにかくイヤで、裕翔が俺を姫扱いすることがイヤだし、全然知らない男から告られても無理って思うのに、ずっと友達だと思っていた裕翔からのガチ告白は、友達からの告白なんて初めてで、かなり抵抗がある。

それに第一、もし俺が裕翔を恋愛対象として見るにしても、性格的に合わないところがいくつかあって、意見で交わらないというか平行線のようなところがあって、やっぱりどう転んでも、裕翔とは比べられた経験があるからか、負けず嫌いな俺にとっては苦手意識が染みついている。


――――――


「涼介、はい、誕生日プレゼント」

5月半ばのこと、裕翔が俺にプレゼントをくれた。

山田「えっ?なんで俺の誕生日が5月だって知ってるの?」
中島「店長から聞いてね。涼介、9日なんだよね?少し遅れたけど」
山田「え、ありがとう‥‥。プレゼントなんてよかったのに‥‥今、開けてみてもいいか?」
中島「いいよ」


プレゼントを開けると、青くて四角い箱が入っていた。
箱から見て分かったけど、ジュエリー系列のものか?と予想して、パカと箱を開けると
四角いネックレスが入っていた。
四角い小さなプレート型のネックレスで、俺が好きな黒色だった。

山田「うわ、ネックレス?センスいいなぁ!スッゲーオシャレ」







中島「それ、僕とペアなんだよ」







山田「え‥‥?ペア‥‥?」
中島「ホラ」

裕翔は首から、チャラリと白色のネックレスを見せた。同じ形だ。

山田「あり‥‥がとう」


――――――


「ハァ~~‥‥‥いい湯」

仕事後、俺は家に帰り風呂に入る。俺はバスタイムが好きで、風呂に入ったときに頭を整理することがあった。

今日、裕翔からもらったネックレス。プレゼントは嬉しいけど
ペアというのがひっかかる。
ペアって‥‥‥俺と裕翔は恋人でもなんでもないのに、コレが本当の友達同士ならおそろいでも素直に嬉しいけど
裕翔は俺のことを恋愛対象として好きだったじゃん。
‥‥‥なんかイヤだな。

しかも形が四角いプレートだから、俺がこのネックレスをつけると、なんか、よく売り物についてるタグってあるけど、そのタグみたいというか
''俺は裕翔のもの''みたいな気がしてならない。俺は裕翔の商品じゃ無ぇぞ☆‥‥‥みたいな。

しかも、このネックレス、よく見ると小さい文字の刻印がある。

この刻印、英語で書いてあるけど何か意味がありそうだな。
ネックレスが入っていた箱に、ブランド名と、ブランドの説明書きがしてある紙がはさんである。

風呂場にスマホを持ってきていたから、ちょっと調べてみる。
このブランドは、おもに恋人同士が買う用に販売されていると分かった。
この商品(2つのペアでセット売り)は、俺が思っていたより高い値段のものだった。


刻印の文字の意味は


『何があっても好きな気持ちは変わらない』


という意味らしい。
裕翔、そういう意味があるって知ってたのだろうか?

バシャとお湯を肩にかけて、自分の体を見てみる。
俺からすれば、異性である女の子の体って、どんな造りになってんだろうって思うし、女の子を好きになったら、裸ってどんなカンジなのかなって想像しちゃうけど
俺と裕翔は同じ男だから、同じ体の造りなんだよな‥‥。
同じ体なんだから、裸が見たいとか思わねーよな‥‥‥?
同性を好きになるって、どんな気持ちなんだろう?同性を好きになった場合、裸を想像するとかあるのか?


裕翔の気持ちを分かりたいと思うのに、今までこんな経験をしたことが無くて、裕翔の気持ちを分かることが出来ない。




そのときの俺は、俺の人生にずっとつきまとうことになる、あの忌々しい出来後が起こるとは思いもよらないでいた――――。




第53話へつづく