お母さんは好きだった

大好きだった

何でもしてあげたいと

思っていた

お母さんの苦労を

見ていたから お母さんに

幸せになって欲しかった

兄はどうでもよかった

どうとでもなってくれ

だけど母にとって

兄は母の80%くらいを

占めていたから

母は兄を甘やかし

弱音を吐けば庇い

失敗をすれば

尻拭いをし

兄の食事だけご馳走だった

病院から帰ってくると

兄だけ 寿司を取り

私達にはなかった

兄の成人の祝いを盛大にやって

ご馳走を並べ 人を呼び

跡取りだと強調した

その中心にいた兄は

ボーッとあらぬ方を

見ていた

姉と私は蚊帳の外だった