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名車列伝、今回は平成ABCトリオの第二回目の「B」
ホンダが送り込んだ軽のミッドシップ、BEATを取り上げます。
バブル末期に送り込まれた、軽自動車スポーツモデルマーケットにホンダが送り込んだのは、ノンターボでミッドシップという、他社とは一味違ったアプローチで送り込んできた。
ビートは1991年、5月1日に発表され、高剛性のモノコックを採用したオープンボディの後部に、エンジン屋のホンダがこだわりぬいた「ターボに頼らない」660ccのNAエンジンを用いて、扱いやすいエンジンに遊びのないシャープなステアリング感覚が、今でも中古市場で安定した価格をマークするモデルの一台になりました。
当時のキャッチコピー「遊んだ人の勝ち」は、まさにこの車のためにあるようなコピーで、CMに使われたBGM、原由子の「じんじん」は見た者のインパクトを与える良質なCMでした。
<さすがはエンジン屋のエンジン>
ボディ背後に搭載されるエンジンは「E07A」という直列3気筒、自然吸気エンジンを搭載しており、他社がパワーを出すためにターボを搭載する中で、ホンダはNAでありながら軽の自主規制値いっぱいの64馬力をマークすることに成功した。
これはエンジンの独立3連スロットルと燃料噴射の切り替えを行う吸気システム「MTREC:Multi Throttle Responsive Engine Control」を搭載し、64馬力を8100rpmで発生、最高回転は8500rpmという高回転型エンジンは、さすがエンジン屋ホンダの面目躍如といったところか?
フロントは前ヒンジで開くちょっとスポーツカーのイメージが見て取れる。
インテリアは、ドライバー側が広げられており、助手席は若干狭いようになっている。
<ホンダの定石を覆す4輪ストラットの足回り>
ビートの足回りは、4輪マクファーソン・ストラットでまとめられている。この当時、ホンダは多くの車種に搭載していたダブル・ウィッシュボーン式をやめて、構造がシンプルなストラット式でまとめていることはピーキーなミッドシップにおいて懐の広さを感じる。
ブレーキは4輪ディスクを奢っているのだが、リアのブレーキはプレリュードのものを流用しており、前輪13インチ、後輪14インチと前後でタイヤのサイズが違う。しかし、ブレーキのバランスが前に強めに利くようなセッティングになっている点は注意が必要(フロントのブレーキを対策するなど、ビートを扱うショップでは対策を施すところもあるので聞いてみるといいだろう)である。
補記類が入るので、ここに荷物はつめない
<実はピニンファリーナデザイン?>
ビートのデザインは、あのコンパクトな中にそつなくまとめられたスタイルが印象的であるが、このデザインを担当したのがイタリアのカロッツェリア、ピニンファリーナの手によるものではないか?といわれている。
当時、シティ・カブリオレのオープンボディ生産やNSXの試作車「HP-X」という2リッターV6エンジンを積んだミッドシップスポーツなどのデザインでピニンファリーナとの親交が深く、ビートのデザインもピニンファリーナの手が掛かっているのではないかという憶測が良く流れている。特に写真のボディラインなどは、今までのホンダデザインにはない、まとまり感があり、きわめてその可能性が高いといわれている。
↑このフロントフェンダーとウェストラインの処理
この辺がピニンの仕事っぽくてカッコイイ
<今も程度の良いタマが多いけど、ラテン車のつもりで接するべし>
今も中古市場でそこそこの程度のものが3~50万円ぐらいで取引されている。
壊れにくい国産車とはいえ、発売してから15年以上経過する車である上に、ビートはラテン車なみにメンテナンスをしっかりしないと痛い目にあうこともあるので注意が必要である。
特に前述のフロントブレーキのバランス調整もそうだが、エンジンのECUコンピュータの一部部品が耐久性が低いために最悪液漏れを起こす場合がある。ECUに対策部品を交換したECUを販売しているショップもあるので、長く付き合うことを考えるのであるならばこの二つは抑えておくといいだろう。
一部コンデンサに耐久性の低いものがある
ちなみに、ホンダではデッドストックだという
ことなので、ショップで扱っている物に交換
することをお勧めする。