お前たちは今日も群れて、世界が自分に牙をむかないことだけを願っているのではないか? 俺は違う。俺は争いを好む。そして、争いの末の勝利をもっと好む。お前たちもうすうす気が付いているであろうが、俺こそが、お前たちが憎む牙そのものだ。

 俺は自分にたてつくものを絶対に許さないし、そのための争いを辞さない。お前たちはママに言われたとおり、与えられた玩具だけで遊び、ときにはそれを奪われても、許しさえするだろう。それが正しいと信じて。

 だが、争わないことの為に生きているようなやつは、そうこうしているうちに自分の大切なものがすべて奪われていることに、いずれ気が付く。そのときには全てが手おくれ。ENDだ。

 お前たちからすべてを奪う野生の牙は俺、あるいは、おそらく、こんな顔をしているだろう。



 猫はお前たちの甘えを見逃すことはない。猫は諦めることのないファイターだ。今日も負けるとわかっていながらに、俺にメンチをきって、向こうから俺を襲った。

 力の差をいくら教え込んでも、諦めることこそが敗北だと、猫は知っているのだ。お前たちのパパやママが決して教えてくれないことを、猫は生まれつき知っている。もちろん俺は今日も猫を下した。ものの1分もかからない。

惨めな敗北の姿を記録することは、俺にとって、快感でしかない。

 お前たちがこれまであった誰よりも残酷なタフガイ、それが俺だ。そんな俺に、お前たちはこの猫のように示せるのか? 決して勝てない相手に、何度でも立ち向かうことが? お前たちの答えはノー、聞かずともわかる。

 お前たちが猫とやれば、猫はお前たちをいともたやすく、まるで暇つぶしにもならないというふうに、殺すだろう。

 お前たちがママからミルクを貰ってそれを喜んで飲んでいる間にも、猫はお前たちを殺す策略をたてる。猫はお前たちを頭の中で八つ裂きする。お前たちがそれに気が付かないうちに、すべてが終わるだろう。勝者は猫。お前たちは惨めさのなかで奪われたものに気が付く。

 勝者は猫。




 ENDだ。