アパートの階段下の暗がりに、
黒くてぼてっとした物があった。
10cmくらいのカエルだ。
そんな大きな野生のカエルは
珍しかったので
ちょっかいを出してみた。
先のとがっていないビニール傘の先で
おしりをつついた。
全く逃げないし
動じない。
調子に乗って
お腹をなでてみた。
ぷく~~っと
お腹がふくれるのが暗闇の中でもわかった。
おお、
おおおお、
これが、絵本や図鑑でみた事ある
「おこってふくれるカエル」か……
全く逃げないのが不思議だった。
よくわからないものに
体をつつかれ触られ
恐怖は感じないのか?
目の前に傘の先を置いてみた。
さあどうだ?
カエルは動かない。
トントン、トントン、
と音を立てて、
カエルの顔に傘を近づけた。
すると突然、
びよんと傘に飛び付いてきた。
うゃああああー!!!
私の方が飛びのいた。
まさか飛びかかってくるとは。
攻撃された?
傘を繁殖相手か餌かと思ったのだろうか?