それから約一週間後の事だった。
朝の通勤時に通る駅前のロータリーを通り過ぎて行こうとした時、
青い車とすれ違った。
運転席の男性がこちらを見ていた。
あなただった!!
あなたはゆっくりとロータリーに入り、
駅前の駐車場に車を止めたかのように見えた。
私は後ろを振り返りながら、あなたが車から降りてくるのを待っていた。
あなたが見えたら、迷わず走って駆け寄るつもりだった。
でも一向に車から降りてくる気配がない。
あなたじゃないのかな。
出勤時間が迫っている。どうしよう。
何度も後ろを振り返った。
遅刻はできない…。
私は目の前の横断歩道を渡った。
何度も夢見たあなたと交わる最大のチャンスを掴み切れなかった。
あの時の私は、あなたに会いたいのに、待ちに待ったチャンスだったのに、
本当は…本当は会うのが怖かった。
40代半ばの自分に自信が持てなかった。
もしかしたらあなたも、私が駆け寄って来るのを
車の中で待っていたのかな。
今となってはわからないけど、
あの時、あなたに会う選択をしていたら…と思うと、
切なくて、後悔してもしきれない。
ごめんね。