明けましておめでとうございます
それにしても久しぶりアメブロ
今回は掌編小説。ショートショートです
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「……ごめん、君だけじゃ足りない…全然物足りないんだ」
僕が神妙な面持ちなのには理由がある。
大好きすぎる彼女が1人だけではまったく物足りない。
好き過ぎるからもっといっぱい君が欲しい。
そう伝えた。彼女も愛されてる気持ちが伝わったのか、
嬉しそうに笑みを浮かべている。
「……そんなに私のこと好きなんだね///」
顔を真っ赤に染めた彼女はとっても可愛い。まじで愛おしい。
早速僕らは彼女をコピーするべくコンビニへ向かった。
最近のコンビニはなんでもやっている。
土地なんかも売っていれば、ペットだって買えちゃう。
そして僕の目的、コンビニのコピー機は動物から物まで印刷できるようになった。
「結構するんだねー、人は1コピー1万円だって」
そんな彼女に僕は両指をばっと全部開く。
「まあ♡」
今日は予算の関係で10人にしておいた。
本当はあと2、30人ぐらい欲しいところだけど。
「ねー!見てみて!私がいっぱいいるよ!」
なにこれ最高過ぎんだろ。
ブブブーーーーン⤴⤴⤴
それからの生活も愛している彼女が沢山で本当に幸せだった。
めちゃくちゃ可愛いし、これだけいれば彼女が在宅ワーク中の
触れ合えない時間でも、ずっと引っ付いていられた。
だけど最近彼女たちの様子がおかしい。
口は聞いてくれるけど、どこかぶっきらぼうだったり、なんだか素っ気ない。
思い当たる節はないが、何だか寂しそうな表情を浮かべる彼女を見ると、
僕が何かをしてしまったのは間違いないだろう。
「最近、私と話してくれないじゃん。あの私とばっかり話してるし。寂しいよ……」
決壊しそうな涙を必死に堪える彼女は本当に辛そうだ。
……そうか。今思えば、彼女全員を等しく接しれたかと言えば、
それを出来ていた自信が僕には無い。
「ごめん……っ!!僕が間違ってた。君からするとこんなの浮気と一緒だよね。本当にごめんなさい!!すみませんでしたっ!!」
おでこが擦り切れる位土下座する。
これだけじゃ足りない。全く足りないけど、
今は誠心誠意込めて謝罪する事しか僕にはできない。
「分かってくれたならそれでいいよ。また2人に戻ろうよ。ねっ?」
こんな事を想定出来なかった自分に嫌気がさす。
僕を見限らなかった彼女は本当に女神みたいな人だ。
これからも一生大切にしていこう。
そんな矢先、僕の前にもう一人の彼女が立ちはだかった。
「……なに言ってるの?私が本物だよ……??ずっと高校の頃から付き合ってきたオリジナルだよ!!?」
「ええっ……??」
彼女と彼女を交互に確認する。
全く一緒だ。姿から何にも変わらない。
「私だよ!」
「私だって!!」
「ちゃんと見て私だよ!!」
ぞろぞろと彼女たちが湧いて出た。
「「「ずっと一緒にいたでしょ!?私が本物の私だよ!!ずっと君を愛してきた私だよ!!」」」
ナニコレコワイ。
「私が本物よ!」
「私だって!!」
「アタイダァヨ!!」
お前だけは絶対に違う。
「「「ちゃんと見て!!私だよ!!」」」
……………………。
原本が分からないどうしようもない僕は、
自分自身を10体コピーする事でなんとか状況は落ち着いた。
「アタイダァヨ?ホンモノチャントミテテーン」
オリジナルの所に来たこいつだけは絶対に僕の彼女じゃない。
おわり
気が向いたらまた。