息子は2017年8月現在で23歳。

精神障害を私が理解できたのは17歳のとき。

17歳で精神科のドクターに言われたのは、

「10歳のころには、(脳が)もう今のような状態になっていただろう」という宣告。

精神障害がどういうものか、何の知識も持ち合わせていなかったので、

親であるにもかかわらず、普通と行動パターンが違う息子と生活を共にしていたのに、

なかなか「精神障害なのかしら??」という発想にはならなかった。

 

母親である私は、「ぼんやりして焦点があってないよ!」と普通でないことは理解できたが

精神を病んでいるとは考えなかった。思いつかなかったのだ。

 

父親は、「根性が足りない」「甘えている!」「気の持ちようだ!」とひたすら根性論を

かざし、息子を責め立てる一方だった。

 

成長の途中で与えられたこの根性論をベースにした入魂しつけは、
子どもにとっては虐待行為だった。

虐待という過剰なストレスが与えられてきた彼には、今思えば、

成長期にして認知症のような傾向が現れてしまっていた。

一時記憶が異常。ついさっきのできごとを覚えていなかったりする。

 

「そういえば」というような事件がいくつも思い出された。

彼の受けてきた「入魂しつけ」は、父親にとっては本心から「しつけ」であった。

しかし、はたから見ると「虐待行為」になるレベルだった。

これは機会があったら実例を挙げてみたいと思う。人によって判断が異なるかもしれない。

 

脳がくらったダメージは、「萎縮」という形で傷になるようだ。

そこから発信される信号は、正常でないことも多く、どこかで悪化を止めなければ

傷はどんどん深くなっていく。

この痛みは、彼の言葉をかりて、いつか詳しくお伝えしたい。

 

17歳ではじめて精神科を受診し、高校を途中で変わり、「静養」をしなければならない

生活に入っていく。

 

ドクターに言われた言葉

「17年かけて悪くなったものは、治るのにも17年かかると思っておいてください」

 

17年のやり直しを始めた日、彼は子供の時には一度もしなかった「後追い」をした。

姿が見えなくなった私を探して、隣近所を駆け巡った。

…回復に向けた苦難の日々が始まった。