今年のダービーは社台ファーム生産のダノンデサイル号が勝利。

2010年代半ばは不振で喘いでいた古豪が、令和に入って復活の狼煙を上げています。

 

近年はノーザンファーム一強のような時代でしたが、ここ数年は社台ファームもかつての輝きを取り戻し、それに呼応するようにして社台TCも成績を上げてきています。今年の成績で見ても、以下のとおり。

 

【2024年収得賞金】

ノーザンF:65億3,067万円

社台F  :40憶2,253万円

 

【2024年重賞勝利数】

ノーザンF:15勝(うちGⅠ3勝)

社台F  :12勝(うちGⅠ4勝)

 

収得賞金こそ差がありますが、これは出走数がノーザンファーム2,420に対して社台ファーム1,621。出走数が1.5倍差がありますので、賞金もほぼその差ですね。つまり1走あたりの賞金額には大きな差がないということになります。

 

まだ2024年の半分ではありますが、重賞勝利数は肉薄しており、GⅠ制覇数では社台ファームが上回る結果に。

2023年の重賞勝利数はノーザンファーム50勝(うちGⅠ10勝)に対して社台ファーム17勝(うちGⅠ3勝)と大差がありましたので、春競馬においては大きな進展を見せたといって過言はないでしょう。

 

 

要因はいくつかあるのでしょうが、よく挙げられるのは以下の5点です。

 

・社台ファームの坂路コース改修 
・山元トレーニングセンターの坂路コース改修

・データのシステム化

・低酸素運動など最新テクノロジーの導入

・育成馬の運動量を2倍近くに増加

 

そのほかにも、スタッフ間での課題認識の共通化や相互に意見の言いやすい環境の整備などもあったようです。

ハードウェア、ソフトウェア両面からのアプローチが実を結んだ形でしょうか。

 

近年スポーツはデジタル化・ハイテク化が進んでおり、例えば野球ではラプソード等の技術導入による数値化が行われ、トレーニングに対するアプローチの仕方や技術の考え方は大きく進歩しています。

競馬も同じくスポーツですから、もっともっとハイテク化は推し進めていくべきでしょう。馬の体にあった理想のフォームや体型、そこに繋がる育成なんかが数値化されていけば、日本競馬は更に進化すると思います。

 

 

ちなみに2024年の社台ファームの重賞馬は以下の11頭。

[栗] コレペティトール(牡4/ジャスタウェイ) GⅢ京都金杯

[栗] イフェイオン(牝3/エピファネイア) GⅢフェアリーS

[栗] ダノンデサイル(牡3/エピファネイア) GⅠ日本優駿、GⅢ京成杯 

[] チャックネイト(セ6/ハーツクライ) GⅡAJCC

[栗] ソーダズリング(牝4/ハーツクライ) GⅢ京都牝馬S 

[栗] プログノーシス(牡6/ディープインパクト) GⅡ金鯱賞

[栗] ベラジオオペラ(牡4/ロードカナロア) GⅠ大阪杯 

[栗] マスクトディーヴァ(牝4/ルーラーシップ) GⅡ阪神牝馬S 

[栗] コスタボニータ(牝5/イスラボニータ) GⅢ福島牝馬S 

[栗] ジャンタルマンタル(牡3/パレスマリス) GⅠNHKマイルC 

[栗] テンハッピーローズ(牝6/エピファネイア) GⅠヴィクトリアマイル

 

一目みてわかるとおり、美浦の重賞馬はわずか1頭と圧倒的な西高東低です。

社台ファームは関西にもグリーンウッドトレーニングセンターという拠点を持ってはいますが、現状有力馬は関西・関東馬問わず宮城県にある山本トレセンを活用しているケースも多く、外厩的な格差はないハズなんですが・・・。

2023年も重賞17勝のうち栗東所属馬が13勝とほぼ9割を占めますので、基本的に社台Fの馬は関西馬を狙うのがよさそうな気はしますね。

 

 

栗東からわざわざ宮城県まで外厩に移送するというハンデを負っていた社台ファーム(ノーザンは栗東トレセンから車で30分の位置にしがらきがある)ですが、ついにこの6月から念願の関西拠点が開場予定です。

それが、2年ほど前から噂になっていた鈴鹿トレーニングセンターですね。以下は社台TCのHPからの転載です。

 

 

栗東TC所属馬を中心とする、関西地方の新しい外厩・社台ファーム鈴鹿がいよいよ本格的に稼働します。気候が安定している土地柄で、直線1100mの坂路コースを備えた国内トップレベルのトレーニングが可能な施設です。

《施設規模》
 18.7へクタール(東京ドーム約4倍の敷地面積)
 坂路コース:直線1100m(ウッドチップ)×幅員7m 高低差は38m、メイン勾配3.5%
 周回コース:1周800m(ウッドチップ)×幅員10m
  各馬房に冷房、ミスト完備

昨秋、リニューアルされた美浦TCの坂路は高低差33m、勾配3%。また栗東TCは高低差32m、勾配2.6%ですので、JRAのトレーニングセンターに引けを取らない、新しい施設となりました。
また、東名阪高速道路・鈴鹿インターチェンジすぐの場所に立地し、栗東TCまでの所要時間が1時間以内と、輸送による馬への負担が少ない利点もあります。

※なお、クラブ所属馬のご見学は6月10日(月)より開始する予定で、月曜日~金曜日の午後2時、午後2時30分で各1組さまのご見学をうけたまわります。それにともない見学予約申込受付は、5月27日(月)より開始します。

 

トレセンの坂路環境と大差のない、大規模な坂路コースが目玉。

従来の関西拠点だったグリーンウッドTCは、勾配こそ3%でしたが600mとやや短めの坂路。鈴鹿トレセンでは倍近い長さになるので、十分な負荷をかけることが可能でしょう。

何よりも、宮城まで数時間をかけて輸送をしていた手間が、栗東近郊の小一時間に短縮されるというのが大きい。

 

 

スタッフがどうなるのかなどまだまだ様子を見なければならない点はたくさんあるかもしれませんが、この新外厩を手に入れて社台ファームの栗東所属馬はますます勢い付きそうな気がします。

今年の募集で社台の馬に行く場合は、栗東所属馬というのをひとつのキーワードにしても良いかもしれませんね。