2011.05.19 SP マカオ科技大学『名誉教授』称号授与式
マカオ科技大学『名誉教授』称号授与式
【謝辞】(代読)
一、はじめに、このたびの東日本大震災に際しては、マカオ各界の皆様方から、真心あふれる温(あたた)かなお見舞いと、大きく力強い支援をいただいてまいりました。
さらに今回、激務のなか、このようにマカオ教育界を代表する、マカオ科技大学の許[傲-人][傲-人](きょごうごう)学長ご夫妻一行が来学くださったことは、日本の青年たちへの何よりのエールであります。
厚く厚く御礼を申し上げます。
一、きょうは、うれしいことに、マカオからの大切な大切な留学生も、駆けつけてくれました。
さらに、東北の被災地をふるさととして、尊いボランティア活動に奔走してきた学生の代表も、参加してくれております。
私たちは、最大の感謝と尊敬を込めて、マカオの先生方を歓迎申し上げたいのであります(大拍手)。
一、ここにお迎え申し上げた許学長は、太陽物理学を専門とされる国際的な天文学者であられます。
昨年には、宇宙で新たに発見された小惑星が、中国科学院の申請によって「マカオ科技大学の星」と命名されたとうかがいました。
貴大学は、まさしく21世紀の教育界を鮮烈に照らしゆく大明星(だいみょうじょう)であり、太陽であります。
その貴大学の光輝(こうき)満つる「名誉教授」の栄誉を、私は愛する創価の青年たちと共に、深き決意をもって拝受させていただきます。
誠に誠にありがとうございました(大拍手)。
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◆激流に揺るがぬ哲学をもて!
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一、本日、貴大学の栄(は)えある一員とさせていただいた、わが決意を3点に約して申し上げるならば、第1に「不屈の信念の光を」ということであります。
思えば、今年は辛亥(しんがい)革命から100周年 ── 。
その大指導者であられた孫文(そんぶん)先生が、革命の成就へ、不撓不屈(ふとうふくつ)の歩みを開始された大いなる青春の起点の天地こそ、マカオでありました。
孫文先生は「至難困苦(しなんこんく)の時代に際して、吾人は当(まさ)に努力進取(しんしゅ)せざる可からず」(外務省調査部編『孫文全集』下巻、原書房=現代表記に改めた)と叫ばれました。
いかなる苦難にも断じて屈しない。いな試練があればあるほど、いやまして闘志を燃え上がらせ、勇敢に立ち向かう。疲れも恐れも知らぬ、青年の活力を満々と漲(みなぎ)らせて、変化や困難を、むしろ新たな前進と発展のバネと転じてみせる。そうした逸材を育てる電源地こそ、大学でありましょう。
そのために大事なのは、時代の激流に揺るがぬ信念であり、哲学であり、ビジョンであります。
孫文先生も宝として尊重された中国の不滅の古典『大学』の哲学には、「個人の内から発して外にいたり、個人の内部からはじめて平天下にまでおよぼす」(山口一郎訳「三民主義」、『孫文選集』第1巻所収、社会思想社)という平和創出のプロセスが明確に示されております。
これは、日本の軍国主義との戦いのなかで、私の恩師・戸田城聖先生が確立した「人間革命」の思想とも軌(き)を一(いつ)にするところであります。
貴大学は、この『大学』の一節に由来する「意誠格物(心を誠実にし、事物の本質を探究する)」との校訓を掲げておられます。この校訓のごとく、旺盛に真理を探究し、たゆみなく学問に挑(いど)んで、民衆に奉仕し、社会の興隆に貢献する力ある人材を、貴大学は誠心誠意、育て上げてこられたのであります。
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◆教育とは青年を信じ抜くこと
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一、第2に申し上げたいことは、「創新(そうしん)の英知の光を」ということであります。
許学長は、「大学こそが創新の揺藍(ようらん)であらねばならない」と高らかに宣言なされています。
この断固たるリーダーシップのもと、貴大学は医学や宇宙科学、さらに人文科学にいたる多彩な分野で、創新の実績を積み重ねてこられました。
また、マカオ初となる漢方薬学の国家重点実験室が貴大学に設置されたことにも、大きな注目が寄せられているところであります。
さらに、「世界管理挑戦コンクール」でチャンピオンを獲得し、世界4大会計(かいけい)事務所の「徳勤税務(とくきんぜいむ)エリートコンクール」で最優秀の成績を収められるなど、若き学才が伸びやかに開花しております。
その大きな源泉は、貴大学における「因材施教(材に因りて教を施す)」すなわち学生の特性や持ち味、志向などに即して、それぞれの創造性を伸ばしゆく人間教育の実践ではないでしょうか。
ともあれ、一人一人の青年の生命に計り知れない創新の光が秘められています。その光を信じ抜き、解き放っていく時、青年は価値創造の太陽となって輝き始めます。
わが「創価教育」の希望の挑戦も、ここにあるのであります。
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◆たゆまず学び共に勝利の曲を
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一、第3に申し上げたいことは、「調和の人格の光を」ということであります。
貴大学は、月や地球探査の最先端の研究もリードされております。歴史的な中国初の月面探査衛星「[女+常]蛾(じょうが)1号」の搭載機器の開発に携わられたことも、よく存じ上げております。
昨年は、欧米やアジアより気鋭の科学者が貴大学に集って「月科学国際シンポジウム」が開催されました。
「月」の科学研究といえば、大歴史学者のトインビー博士は、1969年、アポロ11号による月面着陸の折、一つの論考を発表されました。
そこで博士は、こうした「科学技術の勝利」の真の成果は、それを実現した、世界の科学者の「協力」にあると言われ、その先に「平和」の実現を念願されていたのであります(秀村欣二・吉沢五郎編『地球文明への視座』経済往来社)。
このトインビー博士が、平和への機軸として大いなる期待を寄せておられたのが、中国の歴史を貫く世界精神でありました。
なかんずくマカオには、450年を超える東洋と西洋の「調和」の智慧が脈打っております。これは、人類文明の共生の未来を開きゆく科学技術の探究においても、かけがえのない結合の力となりゆくことを、私は確信してやみません。
この「不屈の光」「創新の光」そして「調和の光」を放ちゆく人材の大星雲を、貴マカオ科技大学の皆様方とこ一緒に、私たちは、さらに燦然(さんぜん)と、世界へ、未来へ、広げていこうではありませんか。
その真情を、貴大学の素晴らしき校歌に、私は託させていただき
ます。
そこには ──
たゆまず諦めず、厚く積んで土台を築き
怠ることなく、創新を最上としよう!
調和しゆく立派な仕事で
共に勝利の曲を奏でようではないか!
との心が歌われているのであります。
敬愛してやまぬ貴大学のいよいよのご隆盛を、私は心からお祈り申し上げます。
そして21世紀文明の希望の都であるマカオ社会が、永遠無窮(えいえんむきゅう)の栄光に包まれゆくことを念願して、私の謝辞といたします。
謝謝!(シェシェ=中国語で「ありがとうございました!」)