2010.04.03 SP エレバン国立芸術アカデミー「名誉博士号」
アルメニア芸術家同盟「名誉会員証」授与式(於・創価大学・短大入学式)


■ 真心に感謝!

一、昨日(4月1日)は、マレーシア全国作家協会連盟から、「世界の偉大な詩人賞」を拝受いたしました。本日、ここにお迎え申し上げたイスマイル会長が授与してくださったのです。謹んで感謝申し上げます。ありがとうございました。〈創立者・池田SGI会長の詩歌をはじめとする文化・芸術の功績に対して、これまで、世界芸術文化アカデミーから「桂冠詩人」称号(1981年)、世界詩歌協会から「世界桂冠詩人」賞(1995年)、同じく世界詩歌協会から「世界民衆詩人」称号(20007年)の栄誉が贈られている〉

■ わが子以上に!

一、新入生の皆さんが、どれほど深く、強い心で、わが創価大学、創価女子短期大学に入学してくれたことか。最優秀の英才の皆さん方が、勇んで、私の創立した大学に来てくれたことは、よく分かっております。他の大学に合格していながら、そのうえで、わが創大を選んでくれた友もいます。本当にうれしい。皆さんの心を、私は永遠に忘れません。また、お父さん、お母さんにも、よろしくお伝えください。また教員の皆さんは、学生たちをよろしくお願いします。創大、短大の教員は、学生を「わが子以上」に大切にし、面倒を見てもらいたい。教員は学生を「下」に見るのではない。学生を「上」に見るのです。それが「学生中心」ということです。それを実行した大学が伸びるのです。学生のために大学がある。世界で一番、学生を大事にした大学が、世界で一番の大学になる。それが方程式です。私も東洋商業(当時)や大世(たいせい)学院(同)の時代に、先生方から本当に大事にしていただいた。そういう思い出は、生涯、忘れないものです。勉強のことや家庭のことなど、学生たちは、さまざまな悩みを抱えています。それをよく聞いてあげて、たとえ成績が悪くても、「君には力があるのだから、心配しないでいいんだよ」と肩を叩いて、温かく激励してあげてほしい。根本は愛情です。学生・生徒に、わが子以上の愛情を注いでいくことが回先師・牧旧初代会長の精神であり、恩師・戸田第2代会長の精神です。それが創価教育の伝統なのです。私自身、創立者として、仏法者として、創大生、短大生が、健康で、幸福で、立派になって、親孝行してもらいたい、勝利の人生を歩んでもらいたいと、毎朝毎晩、祈りに祈ってきました。今もまた祈っています。それが私の使命であり、宿命であると思っています。創大、短大の柱である教員の皆さん、どうか、よろしくお願いします。永遠に、この心で進んでいただきたい。皆さんから「教員革命」の模範を示していってください。一、きょうは、アメリカ創価大学に入学する皆さんの代表も出席してくれています。皆、おめでとう!遠く地方からも、創大、短大に多くの新入生を迎えることができました。本当にうれしい。感謝しています。はるか北海道の天売(てうり)島から来てくれた友もいます。ありがとう!「学は光」の通教生の皆さんも、おめでとう! 皆、体を大切に!尊き留学生の皆さん、ありがとう!今年からインドの創価池田女子大学からも留学生をお迎えすることになりました。本当にうれしい!日本の学生の諸君は、留学生を温かく、また熱烈に歓迎してあげてください。よろしくお願いします。そして、ご家族の皆様方、心から感謝申し上げます。教員の皆さんも、ご家族に最大の感謝を捧げていっていただきたい。


■ 親孝行であれ!

一、新入生の皆さんは、親孝行をお願いします。まずお父さん、お母さんに心配をかけないことです。そしてまた、お父さん、お母さんを大切にしよう、喜ばせてあげようという心が大事です。そして、いつかは偉くなって、日本中、世界中に連れていってあげようというくらいの大きな心で、自分自身を磨きに磨いていってください。創大生の私がいれば、お父さんは安心してくれる。お母さんは満足してくれる── そういう麗しい親子関係の創大生になってください。一、きょう、お迎えしたイサベキャン総長とアガミャン総裁は、ともに貴・エレバン国立芸術アカデミーの卒業生であり、母校のために尽くしてこられた尊い方々です。卒業生が愛する母校を守り、支え、発展させ、後輩のために尽くしていく ── これほど美しい、人間世界の流れはない。創価大学にも、創大出身の学部長が新しく誕生しました。経済学部の神立学部長、法学部の加賀学部長、文学部の大梶(おおかじ)学部長です。さらに法科大学院の尹(いん)研究科長、通信教育部の花見部長が就任された。「学生のために」「後輩のために」この良き伝統をさらに輝かせていっていただきたい。

■ 強くなれ!

一、ともあれ皆さん、入学、本当におめでとう!徹して学んで、必ず偉くなって、ご両親を安心させてあげてください。私も青春時代、そうしてきました。戦争のために、わが家は、住む家を追われ、4人の兄を兵隊にとられ、長兄は戦死した。私は、懸命に一家を支えました。大変な苦労を味わった。故に私は、国家悪とは戦います。戦争には絶対に反対です。日本は中国に申し訳ないことをした。日本は心から反省し、中国と友好を結んでいくべきだ ── この信念を、日大講堂で発表しました。〈1968年9月8日、学生部総会での日中国交正常化提言〉後に周恩来総理とお会いした時、総理は、提言のことを高く評価してくださった。一、私は世界中の指導者と対話し、友情を結んできました。マンデラ氏(南アフリカ元大統領)と初めてお会いしたのは20年前。氏が獄中闘争を勝ち越えた年です。〈1990年10月31日、聖教新聞本社で会見〉氏が、通信教育で学び抜いたことは有名です。獄中で、私の文章も読んでおられた。迫害を乗り切り、戦い勝ってこそ偉大であると、二人で固い握手を交わしました。その5年後、大統領として来日された氏と、再会しました。〈95年7月5日〉友情と信頼を確かめ合い、私はうれしかった。今も交流があります。きょうは、正義と人権のために闘ってきたマンデラ氏の叫びを、皆さんに伝えたい。「我々自身が、より強くならなければならない」学ぶことが、すなわち強くなることです。親孝行も、強い人間である証拠なのです。

■ 自分で決まる 

一、わが新入生の皆さんに、私の大好きなアルメニアの民衆詩人チャレンツ先生の詩をお贈りしたい。「君の春よ、勝利に輝け!君の道は、すでに花々に包まれている。これから、この道を黄金に輝かせていくのは君自身なのである」きょうから、一緒に黄金の歴史を刻んでいこう!何があっても、落胆してはいけない。心こそ大切だ。人生は勝たなければ損である。その方向性は、青年時代に決まってしまう。だからこそ、この学生時代が重要なのです。本日、お越しくださったご来賓の先生方は皆、平和と人道のため、戦い抜いてこられた闘士であります。この最高峰の知性の先生方が、人類の未来の希望を創価の君たちに託してくださっているのです。牧口先生と同年代のアルメニアの大詩人、イサアキャン先生は歌いました。「何があろうとも、人間よ、誇り高くあれ」と。君たちは世界一、誇り高き青春を進んでいる。これからも、進んでいってもらいたい。私はかつて、20世紀最大の歴史学者であるトインビー博士と対談をしました。
話の内容が難解で、通訳が苦心していました。語学の重要性を痛感したことを覚
えています。このトインビー博士が、"苦難に負けない強さ"の象徴として注目していた民族が、貴アルメニアでした。ヨーロッパとアジアを結ぶ、美しき高原の国アルメニアは、文明の十字路にあって、数限りない侵略や迫害にさらされました。大変な苦しみを味わってこられた。しかし、どんな災難にも、貴国は絶対に屈しない。常に世界へ人材を送り出し、人類の宝の芸術を見事に創造してこられたのです。この不屈の魂を烈々と受け継がれる先生方から、本日、私は何よりも尊い栄誉を賜りました。厚く厚く御礼を申し上げます。誠に誠に、ありがとうございました。

■ 民衆こそ大切 

一、エレバン国立芸術アカデミーは、第2次世界大戦後の荒廃の中、民衆と芸術家の力によって創立されました。民衆こそ大切です。芸術家こそ大切です。その創立の功労者の一人が、世界的な画家であり、哲学者であられたイサベキャン総長の父君であります。総長は、ご両親の信念をわが信念として、「父母に応えられる人生を生き抜こう」と学びに学び、努力を貫かれました。勉学は親孝行です。努力は親孝行です。君たちも、ご両親が心から喜んでくださる学生生活を頼みます。総長と同じく、アルメニア芸術家同盟のアガミャン総裁も、崇高な使命光る大芸術家として、親孝行を果たしてこられました。総裁が最も尊敬される偉人は、創価大学にも像が立つ、レオナルド・ダ・ヴィンチであります。新入生の皆さんはダ・ヴィンチのことは知っているでしょうか。ぜひ、自分で研究してみてください。一つ一つ、何でも学んでいく。これが本当の勉強です。私も青年時代、師匠である戸田先生のもとで、毎朝のように勉強した。日曜日も、徹底して学びました。このダ・ヴィンチの有名な言葉に「地球は成長しようとする精神をもっている」(チャールズ・ニコル著、越川倫明ほか訳『レオナルド・ダ・ヴィンチの生涯』白水社)とあります。少し難しい言葉かもしれないが、よく思索してもらいたい。若き君たちの生命は、一日一日、毎日が成長である。一月(ひとつき)一月、前進である。一年一年、創造なのです。全員が、勝利の人生を飾ってもらいたい。ご両親も、友人も、そして大学の先輩や後輩たちも喜ぶような、素晴らしい人生を送ってもらいたい。地味ではあっても、心が光る勉強と努力をし抜いてください。

■ 挑戦の勇気を!

一、アルメニアが生んだ大音楽家・ハチャトゥリヤン先生は、青年に訴えました。「怠惰は鉄がさびるように、人間の創造性をさびつかせてしまう」(寺原伸夫著『剣の舞 ハチャトゥリヤン ── 師の追憶と足跡 ── 』東京音楽社)と。人生は怠けてはいけない。それでは人間は磨かれない。頑張ろう!残念ながら、今の時代は、安易な遊び半分の風潮が、蔓延しています。それに流されてしまえば、自分が後悔を残すだけであります。大事な君たちだ。思うようにいかない時も、一歩また一歩と、前へ踏み出す挑戦の勇気を燃やしていくことを、絶対に忘れないでいただきたい。風潮に流されて、遊び半分では、人生の最後に負けてしまう。本当の勝負は、最後の5年間がどうかである。私は、総長と総裁のお二人が大切にされるアルメニアの不滅の獅子吼を、君たちに伝えたい。それは、5世紀の貴国の哲人の叫びであります。「命を賭して戦う者こそが、永遠の生命を得る」まさに正義のため、恐れなく戦い抜く勇気です。勉強も正義です。そして勇気こそ、教育の根幹であります。創価教育の創始者である牧口先生と戸田先生も、また弟子の私も、平和と正義に命を捧げてきました。そのために私は勉強しました。『創価教育学体系』を発刊された牧口先生、『推理式指導算術』などを著した戸田先生という大教育者の英知を受け継いできました。この弟子のつながりがあったゆえに、私は勝ちました。平和と正義 ── そのための勉強です。そこに永遠の勝利がある。断固として、皆さん方も、正義と平和の道、そして親孝行の道に続いてください。頼みます!

■ 時を逃(のが)すな 

一、きょうは、偉大なマレー文学の父であられる、イスマイル会長ご夫妻と、再会を果たすことができました。本当にありがとうございます。うれしい!会長は人間のための芸術に尽力された。世界の民衆の心を結んでこられた。その原動力として、若き日、「学問探究のチャンスは今だ。時を逃すな」と決意して、学び抜かれたことは、あまりにも有名であります。君たちも、今が学ぶ時だ。本当に学んだ人間が偉くなる。中途半端では、乱世を勝ち抜くことはできません。語学も断じて習得してもらいたい。語学があれば、活躍の舞台が広がります。世界でさえ、狭く感じられる。人類の宝である良書も読破し抜いていただきたい。そして、お世話になった方々のためにも、成績優秀で卒業してください。

■ 太陽の如くあれ 自身の道を貫け 

一、激動の社会で強く要請されている力は何か。それは、「コミュニケーション(他者との対話)の力」であります。この点については、先日、日本を代表する月刊誌「中央公論」に掲載された、私と、若き脳科学者・茂木(もぎ)健一郎博士との往復書簡でも、一つの焦点となりました。自分の中だけでは創造性は育たない。脳科学から見ても、異なる世界と触れ合うことで、脳は学習をすると指摘されております。要するに、他者と誠実な対話を重ねる人は、創造的な生命を常に光り輝かせることができるのです。君たちは、世界に開かれた、この創価の学舎から、大事な留学生の皆さんとともに、生き生きと朗らかに、平和と勝利の大連帯を広げ創っていってください。終わりに、太陽の国アルメニアの大文豪トゥマニャン先生の詩を、愛する大切な諸君に捧げたい。「太陽の如くあれ!自身の道を貫け!厚き暗雲を突き抜けて、常に威風堂々とあれ!君には、光明をもたらすために生き抜く使命があるのだ」貴国の永遠の栄光と平和を、心からお祈り申し上げます。ご来賓の先生方、また保護者の皆様方のご健勝をお祈り申し上げ、私の謝辞とさせていただきます。ありがとうございました。