映画『鑑定士と顔のない依頼人』をDVDで観賞。


『英国王のスピーチ』、なにより『パイレーツ・オブ・カリビアン』でキャプテン・バルボッサを演じるジェフリー・ラッシュが、今度は何を観せてくれるのか楽しみだったが、劇場に行きそこなった作品だ。


ストーリーは、オークションを取り仕切る1人の漢が、少しずつ少しずつ、対人恐怖症の依頼人の女との奇妙なやり取りの中で、彼女との信頼関係を深め、いままで知ることのなかった愛情さえ抱くようになり、オークションを引退してさあ彼女との新しい未来に向かって一歩を踏み出そうという時に、それが周囲を巻き込んだ壮大な詐欺であったことを知る。


愛で実を滅ぼす? やさしさの裏に潜む残虐・諧謔? 周囲が見えなくなるほど没入し冷静な判断ができない状態? 弱き者への同情? 誰かを幸せにしたいという気持ち。 自分の存在価値、そして存在理由・・・?


思わず、オレオレ詐欺を思い出してしまいます。 人の弱さ・脆さ・儚さを、まさかこんなに鮮やかに見せつけられようとは。


近年、稀にみる興味深い作品でした。