チベットで暴動が起きた。


暴動ではなく、チベット僧侶のデモを中国当局が弾圧したというのが正しい表現のように思われる。


チベットはインド仏教が独自の変化を遂げた場所。

自分も以前「チベット死者の書」を読んだことがあるが、輪廻転生の思想(チベット仏教の考え方)が人民のこころの支柱となっている。

理解もできるし、傾倒する欧米人も多い。


そもそも、一部の専制君主が領土膨張政策を採ったことが、少数民族の多様性を抹殺し、ひずみを生み出したのであり、中華人民共和国の一部としてチベットを単一国家に組み入れること自体、無理があるのではないか。 ソ連がロシアに変化したように、そう遠くない将来、中国が民族の自主性を認めざるを得ない日がやってくるだろう。 当局の強圧と、チベット人民の不満の高まりが浮き彫りとなった形だが、普段テレビで観ている、平和で、そして仏教の聖地然としたラサやポタラ宮が、戦闘状態に置かれているのは信じがたいことだ。


8月には、北京でオリンピックが開催される。

スポーツと政治を同列で考えるべきではないが、

S・スピルバーグが、北京五輪の美術総合プロデューサーを辞退したニュースは記憶に新しい。 これは、言論を統制するためにスーダン政府がダルフール地区で人民を大量虐殺したことを中国政府が支持していることに抗議する、すなわちボイコットしたものであることを知った。 

チベット問題の解決如何では、北京五輪をボイコットする国が出る可能性は十分ある。 現にドイツは、外相レベルで「ボイコットはしないが中国政府の対処を静観する」という態度を表明している。 日本は、チベット問題が最悪の方向に決着する時に、果たしてどのような主張と行動にでるのだろうか。 参加国がひとつもボイコットすることがないよう、円満な解決が望まれる。


ダライラマ14世は、独立論者ではなく「高度な自治」を求めているという。

ラサは是非1回訪ねてみたい場所である。

もっとも1か月ぐらい休暇がなければ無理か。