久々にブログの更新。
ここ1年ほど、忙しく仕事をしていた。
新しいプロジェクトも増え、ブログを更新することもなくなってしまった。
数少ない読者の方ももういないだろう。
今回ブログを書いたのは他でもない。
『アルジャーノンに花束を』などの作品で知られる作家のダニエル・キイス氏が6月15日に亡くなった。享年86歳。
「24人のビリー・ミリガン」の作者といった方がわかるだろうか。
わたしが『アルジャーノンに花束を』をはじめて読んだのは二十歳のとき。
いまからもう16年も昔になる。
この作品が世に出たのは1959年。
以降、映画化やドラマ化、舞台化されている。
物語は知的障害をもつ青年を軸にすすむ。
彼は周りの人と世間話をしたり、新聞を全部読むことを夢見て、パン屋で働きながら勉強している。
あるとき彼は大学の教授から頭を良くする手術を受けてみないかと誘われる。
すでにネズミの実験では一定の成功を収めており、実験体のアルジャーノンというネズミは驚異の知能を発揮し、彼との迷路対決に勝利する。
その後、その手術を受けた青年は...
ネタバレは好きではないのでここまでにするが、とても考えさせられる物語だ。
「幸せとはなにか」
年齢を重ね、読むたびに新しい発見がある。
未読の方はぜひ手にしていただきたい。
ダニエル・キイス氏は同作がヒューゴー賞を授賞したときのインタビューで「どうしてこんな傑作ができたのか」という質問にこう答えている。
『その理由がわかるなら、私に教えて欲しい』と。
さら『「私ももう一度あんなのを書いてみたいんです』と続けたという。
わたしが所有しているのは早川書房の発行だが、小尾芙佐さんの翻訳も素晴らしかった。
とくに最後の2行は何度読み返しても震えがくる。
この物語のすべてがこの瞬間に収束していく。
ここ数年、この本を書棚から出すことはなかった。
久々にじっくり読んでみよう。